世界保健機関(WHO)によると、2000年以降、世界の飲酒人口は47.6%から43%になり、5%近く減少している。
アルコール飲料市場を調査している「IWSR」によると、2018年だけで世界のアルコール消費量は1.6%減少。こうした数字は1桁台の小さな変化に過ぎないものの、確実に注目に値するものだ。
インスタグラム上には「#soberliving」(シラフな生活)というハッシュタグがついた投稿が130万件個近くある。
アルコール市場の調査会社「ビバレッジ・インフォーメーション・グループ」によると、ビールの売り上げは過去5年間、減少しているが、ノンアルコールビールの売り上げは横ばいか伸びてすらいるという。
「依存症」から「ウェルネス」へ
「大きな変化は、アルコールをめぐる会話が、『依存症』から『ウェルネス』へと変化していることです」
そう話すのは、『この裸の精神──節酒し、自由を見つけ、幸せを発見し、人生を変えよう』(未邦訳)の著者アニー・グレイスだ。本書は飲酒と神経科学の関係を掘り下げ、節酒したい人のために道しるべを示している。
米疾病管理予防センター(CDC)によると、過度に飲酒をする人のうち、臨床的に依存している人はわずか10%だという。
「それ以外の90%の人にとって飲酒は『習慣』であって、それに依存しているわけではないのです。
断酒で最大かつ即座に改善されたこと
飲酒の習慣をやめることは単に流行っているだけでなく、健康にもいい。
英サセックス大学の研究によると「ドライ・ジャニュアリー」の実験に参加した人は、飲酒する人より活力に溢れ、健康的な体重だったという。1ヵ月断酒すると酒を飲みたいという欲求が減り、その状態は実験後も数ヵ月続いた。
断酒したことがある人にその経験について尋ねると、以前より気分が良くなったと答える人が多いだろう。
私の場合、最大かつ即座に改善が見られたのは、「睡眠」だった。ワインを飲まないと以前より寝つくまで時間はかかるが、夜通し眠れるようになった。
途中で目が覚めることなく、7〜8時間の素晴らしい睡眠を得られるようになり、朝起きたときにはスッキリしていて、1日を始める準備ができていると感じるようになった。
飲んでも問題ないと説得してくる人
アルコールは、摂取しないと責められる唯一のドラッグ(薬物)だ。厄介だったのは、飲んでも問題ないと説得しようとする人や1杯だけ飲むよう勧めてくる人への対応だった。
そんな場合は、「ウェルネス」という枠組みで話すと良いとグレイスは助言する。
「私たちは歴史的に、人をアルコール依存症の人と、そうでない人に分けるという不文律に従ってきました。
依存症ではないけど、お酒の飲み方を変えたい場合は、どん底に落ちるまで待ってから、教会の地下で開催されるミーティングに参加し、そして友人や家族に、自分は問題を抱えているから助けを得ていることを告白する、という具合でした」
グレイスは、アルコールを飲まない理由を人に尋ねられた場合は、「飲みたければ、いつでも、どれだけ飲んでも構わないが、ただ飲みたくないだけだ」と答えるのだという。
「お酒に対する気持ちが変わって、飲まないからといって何か損しているような気分にはなりません。これはルールや制限を設けるといったこととは違います」
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