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執筆者の写真Shunta Takahashi

「気候変動への不安」に対する専門的なセラピストのニーズが急増している

「エコ不安」こと気候変動に対する不安、それは長らく懐疑的に見られてきた。

アメリカ心理学会(APA)が「エコ不安」を「気候変動に対する慢性的な恐怖」と定義したのは2017年。以来、この分野に変化がみられるようになった。


エコ不安は「本物である」との認識が少しずつ広がり、特にこの2〜3年で、気候変動を専門とする心理学者やセラピストが本格的に求められるようになっていると、米紙「ニューヨーク・タイムズ」は報じている。


世界10ヵ国で16歳から25歳の1万人を対象に行われた最近の研究では、回答者の45%が「気候への懸念が日常生活に悪影響を及ぼしている」と答えている。また、56%が「人類の終焉と信じている」と回答したという。


ドハティ博士によれば、「エコ不安」は公式に認められている身体的または精神的障害ではない。そのため「診断できるものではない」のだという。


抱える不安の度合いは人によって差があり、一部の人は他の人よりも大きな影響を受けていたりする。ただし「エコ不安」を抱えること自体は「合理的である」ため、「障害とみなせるものでもない」。


彼が「合理的」だというのは、気候変動は個人の思考の中で起きている、いわゆる思い込みによるものではなく「実際に起きていること」だからだ。

エコ不安の治療法

ドハティ博士はエコ不安の治療法において、まずは個々人に「環境アイデンティティ」があることを認識するのが大切だと、ASAのインタビューで語っている。


彼曰く、環境アイデンティティとは「自然界に関係するアイデンティティ(自己)のこと」を指す。それは、国籍や民族、性別などに関係する文化的・社会的アイデンティティと同じ種類のもので、誰もが持っているものだという。


特に自然界と密接に繋がった生活を営む人々ほど「発達した環境アイデンティティの感覚を持っている」が、そうでない人も「さまざまな環境アイデンティティを持っている」と説く。


そして、気候変動が実際に起こっている以上、「不安を感じるのは自然なこと」だと解釈し、クライアントが恐れる状況や感情に向き合いながら段階的に不安を減らしていくことを目的とする治療法を提唱している。


ゴミを減らし、プラスチックの使用を控え、CO2排出量の少ない暮らしをすることが地球に優しいことに嘘はないが、問題は個人の行動だけで解決されるものではない。


そういったことをクライアントに認知させ、過度な反省や自己に失望している状態を意図的に止める技法を使っているのだそうだ。

18歳の学生は、目標はエコ不安から解放されて「幸せになることというよりは、ちゃんと集中すべきことに集中できるようになること」だと語る。


37歳の母親もまた、「何をしても気候変動のことしか考えられない状況から脱せられれば進歩」。まずはそれを目指していると、同紙に語っている。

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