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執筆者の写真Shunta Takahashi

「男嫌いは出ていけ!」 韓国の若い男性のあいだに巻き起こる「反フェミニスト」運動【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.225】

「男嫌いは出ていけ!」

若い男性たちはそう叫ぶ。


「フェミニズムは精神障害だ!」


反フェミニストを掲げる男性活動家たちはわずかでもフェミニズムを察知すると、ことごとく標的にする。彼らは「男嫌いを吹聴している」と大学の女性講師を非難し、授業を中止に追い込んだ。さらに、東京オリンピックで3つの金ダルを獲得したアーチェリー韓国代表選手アン・サンの短髪を誹謗中傷した。


フェミニストは「社会悪」

韓国では、若い男性たちが声高に叫ぶ新しいタイプのポリティカルコレクトネスが判断基準になっている。


そんな彼らにとって最大の敵がフェミニストなのだ。不平等が最も敏感な問題に挙げられる韓国では、経済の不透明感が深まりつつある。それに拍車をかけているのが、高騰を続ける住宅価格と失業問題、そして拡大する所得格差だ。


「私たちは女性が嫌いなのではありません。女性の権利向上に反対をしているわけではないのです」


新男性連帯は、街頭で抗議活動をしたり、登録者数45万人のユーチューブチャンネルを運営したりしている。団体メンバーいわく、フェミニストと男性嫌いは同義だ。彼らはかつて、「すべてのフェミニストが絶滅する日まで!」というモットーを掲げていた。


どうして韓国では、フェミニズムに対する反発心がそこまで強くなったのか。


韓国は、富裕国のなかでも所得の男女格差が最大だ。国会議員に占める女性の割合は5分の1にすぎない。上場企業の取締役会に名前を連ねる女性の割合も、アメリカの28%に対して、5.2%にとどまっている。


にもかかわらず、韓国の若い男性の大半は、女性よりも男性のほうが脅威を感じ、疎んじられていると主張する。


経済的に豊かになるにつれ、そうした習慣は遠い昔の記憶となっていった。いまどきの家族は娘を溺愛する。大学進学率は男性より女性のほうが高く、女性がチャンスを手にすることはもはや珍しくはない。とはいえ、目に見えないガラスの天井はいまだに存在している。


「20代の男性は非常に不満を抱えており、自分たちは逆差別の被害者だと思っています。上の世代が作り出したジェンダー差別のつけを払わされていると怒っているのです」


反フェミニスト派はよく、兵役義務があって就職を延期せざるを得ないから男性が不利になると主張する。しかし、女性たちの多くは出産後に仕事を辞め、家事の大半を担う。


票集めのために政治家も…


ジェンダー戦争は韓国の大統領選にも入り込んでいる。その主な目的は若い有権者の獲得

だ。反フェミニストの憎しみに満ちた発言が強まるなか、主要候補はまだ誰ひとりとして、女性の権利について正々堂々と意見を表明していない。


かつては、女性の権利について主張すると有権者からの受けがよかったものだ。5年ほど前には、現職大統領の文在寅(ムン・ジェイン)が大統領選中に自ら「フェミニスト」を標榜していた。


その一方で、尹錫悦は2021年12月、有名フェミニスト団体の代表として知られる31歳の女性を選挙戦のシニアアドバイザーに起用している。若い女性有権者を遠ざけないようにするためだ。


韓国では大統領の任期が1期のみと定められているため、文在寅は再選を目指せない。文が所属する民主党の候補者である李在明(イ・ジェミョン)も、若年男性にアピールするべく「女性が性別で差別されることが絶対にあってはならないのと同様、男性も性別を理由に差別されるべきではない」と述べている。

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