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執筆者の写真Shunta Takahashi

よくいる“チャラ男”のよくあるデート愚行がトップニュースになり“公開処刑”されるまで【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.212】

電話にも出なければ、メールの返信も一向にない──。進行していた恋愛が、ある日突然「一方的に連絡を絶たれる」ことで強制終了をむかえる。


オンライン・デーティングが広がるにつれ、この「ゴースティング」の頻度は増えた。何らかの理由で会ったり話したりするのが億劫になると、ただ連絡を絶って逃げる。そんな愚行が横行している。


そんななか、同じゴースティングの常習犯から被害を受けた女性たちが、ひょんなことからティックトック上で知り合い、話が思わぬ方向にエスカレートする出来事が起こった。

アルゴリズムという現代の運命のいたずらで…

事の発端は、ティックトック上である女性が、ケイラブという名の長身の男性から「ゴースティングされた」というデート経験を語ったことだった。内容自体はよくある話だったが、動画のコメント欄は大いに盛り上がった。


「その人知ってる。ウェスト・エルムで働いてる人でしょ?」

そんなコメントが相次いだのだ。


ケイラブはニューヨーク在住の25歳で「長身でそこそこハンサム」。人気のデートアプリ「ヒンジ」のユーザーで、プロフィール欄にはインテリアブランド「ウエスト・エルムのデザイナー」と書かれていた。


コメント欄が盛り上がったことに、ティックトックのアルゴリズムが反応した。それにより、彼女の動画「#ウェストエルム・ケイラブ(WestElmCaleb)」はより多くのユーザーの目に止まるようになった。


そのユーザーの中にはティックトッカーとしてそれなりの人気を集めていたニューヨーク在住のケイト・グラバンもいた。なんと、彼女もケイラブとヒンジで出会っていたのだ。彼女がケイラブとのデート談を語った動画を公開したことで、「#ウェストエルム・ケイラブ(WestElmCaleb)」は本格的なバイラルになった。


このハッシュタグがついた動画の再生回数は、現在3000万回以上に達していると、報じられている。


無責任な男ではあるが その制裁は重すぎではないか

前述のティックトッカー、グラバンによれば、ケイラブの手口はこうである。

まず、メールはとてもマメで、電話番号を交換してからは毎日のようにロマンティックでスイートなメッセージを「大量投下」してくるのだという。


そして、「君のために作った」という、同じスポティファイのプレイリストをみんなに送り、「(君との交際を真剣に考えているから)僕はもうデートアプリは消したよ」と、甘い嘘をつく。


「朝まで別の女の子と一緒にいながらその子と同じベットの上で私にメールをし、その日の午後3時に私とデートをするような男」だそうで、彼からの情熱的な好意に、女性の方も心を許して恋心をみせはじめると、「急にゴースティングする」というのがケイラブのパターンだ。


ただし、ケイラブが3000万回以上再生されるに値するほど、特別なチャラ男で、群を抜いた危険な人物であるかというと、そうではない。


同誌は、ケイラブは都会に住む「ごく平均的な25歳の白人男性」と書き、パイラルになったケイラブの話は、もはやケイラブの話ではなく「ケイラブみたいな男たち」の話に肥大化

していると指摘する。


しかし、有名人でもない市井の男性が、デートのエチケットがなっていないのを理由に、ネット上に名前はおろか職場や顔写真まで晒され、何十万もの人から誹謗中傷を受けるほどの「制裁」を受ける必要があったかどうかには疑問の声をあげている。

もっとも、最初にケイラブとのデートについて語ったティックトッカーたちは、彼を公開処刑にすることは「まったく意図していなかった」と語っている。あくまでも、現代のニューヨークのデートシーンの一例を語ったまでだと。


だが、ソーシャルメディア、およびそのユーザーの性質には、ともすれば「暴徒化」してしまう側面がある。彼のソーシャルメディアを調べ上げ、誹謗中傷を書き込み、ネット上に顔写真を拡散する──。今回のような「どこにでもある話」も一度、偶然の積み重ねでバイラルの波に乗ってしまうと、暴徒化の歯止めが効かなくなる。


イベント参加はこちらから。



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