黒人とクィアのアイデンティティーを探求するアーティスト、ラクァン・ドーソン(27)は、ブルックリンの自宅兼スタジオで、女性用のランジェリーを身につけてセルフ・ポートレイトを撮る。だが、女性ものではウェストや下半身の部分が彼の体にフィットしない。それを解決するには、ランジェリーを後ろ向きに着たり大きいサイズを買ったりするしかなかった。 米「ニューヨーク・タイムズ」紙によれば、近年、セクシーな男性用ランジェリーが男性のあいだで人気を集めているという。 こうしたランジェリーを発売しているのは、新しいブランドが多い。だが、老舗も負けてはいない。 1983年に創業したイタリアのランジェリーブランド「コザベッラ」では、昨年11月、レース付きの男性用ブリーフや半透明のTバック、カラフルなGストリングをオンラインで販売しはじめた。 また、歌手のリアーナが手がけるランジェリーブランド「サヴェージ X フェンティ」では、2020年に初めてメンズコレクションを発表すると、12時間で完売したという。
そして今年のバレンタインデーには、真っ赤なメッシュのクロップトップなど大胆なデザインが並んだ。同社のクリスチャン・ペインダヴィスによれば、顧客の多くは彼女や配偶者ではなく男性自身だそうだ。
下着も、性別にとらわれない
トレンド予測会社「WGSN」のファッションコンテンツ担当で副社長のフランチェスカ・マストンいわく、男性用ランジェリーは「大きなムーブメントの小さな一角を占めている」。ランジェリーの売上はパンデミック中も好調だったことから、多くのランジェリーメーカーは「性別にとらわれない」というファッショントレンドにあわせて、男性向けの未開拓市場も見据えているのだ。 セクシーな下着に魅了されているのは、クィアやノンバイナリーの人たちだけではない。「伝統的」な嗜好を持つ男性のなかにも、こうしたランジェリーの愛好者はいる。 写真家でモデルのスティーブ・グリーン(28)は、2020年にサヴェージ X フェンティのランウェイを歩いた。彼は「彼らと仕事をするまで、男性用ランジェリーなんて考えたこともなかったよ」とニューヨーク・タイムズに語る。 以前グリーンは「カルバン・クライン」や「ポロ ラルフ ローレン」のブリーフを履いていた。だが今では妻と過ごす「特別なとき」は、サヴェージ X フェンティの赤いサテンのボクサーで気分を盛り上げる。 「もうちょっとセクシーにいきたいと思ったときは、その下着にするんだ」 そしてこう続ける。 「僕たちは男性用『ヴィクトリアズ・シークレット』を手に入れたんだよ」
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