ロシアのウクライナ攻撃を受け、世界の経済大国の首脳が対応を協議している。ロシアとの敵対を避けようと何年も努力してきた日本は、欧米の同盟国と慎重に連携している。
2014年のロシアによるクリミア併合を外相として対応した岸田氏は、欧米の同盟国と歩調を合わせて「厳しい対応」を取ると述べている。
欧州政治を専門とする筑波大学の東野篤子は「一方では日本は他のG7の6ヵ国を本当に追随しています」と指摘する。「それと同時に、日本政府の行動は実にゆっくりとして小さいもので、できるだけ影響を抑えようとしています」
以前の制裁には「無意味」なものも
23日に発表された経済制裁には、ロシアが独立を承認した2地域の関係者へのビザの発給停止と資産凍結、2地域への輸出入の禁止、ロシア国債の日本での発行・流通禁止などが盛り込まれた。
これらの制裁はやはり、形ばかりなものに過ぎないようだ。複数のアナリストは、ロシアの国債が日本で発行されているのか、あるいはどの程度発行されているのかを特定するのに苦労している。
24日に日本は現在、ロシアへの半導体やその他のハイテク製品の輸出禁止を含む、さらなる制裁を検討していると報じられた。米国や他の西側諸国と協調したこのような制裁強化は、日本にとって重要な一歩となるだろう。
中国の脅威の不安、背景に
ウクライナ危機をめぐって欧米の同盟国と共に行動する能力を示したいという日本の願望は、この地域における中国の脅威に対する自国の不安と結びついている。
与党自民党の指導者たちは、もし日本が精彩を欠く対応をすれば、中国が台湾に侵攻した際にヨーロッパの同盟国からの支援を期待することはできないと警告。
日本は長い間、ロシアを中国に近づけるような行動をとることを恐れ、北方領土問題についても、ロシアとの交渉の余地を残すように努めてきた。
2020年に退任した安倍元首相は対ロ関係改善に努め、ロシアを戦略的パートナーとするため、8年間で27回もプーチン大統領と会談した。ロシアが中国との関係や日本との領土問題に対する姿勢を変えなかったため、二国間関係は冷え込んでいる。
「岸田首相は、安倍元首相とのバランスをとる役割を担ってきました。安倍元首相がプーチン大統領を重視していたとき、岸田首相はG7に顔を出し、何ができるか、何ができないか、というルートをつくる人でした」
より前進する必要、指摘も
G7首脳は共同声明で、ロシアが侵攻した場合「甚大な結果」を招くと約束したが、日本の行動は通用しないと、テンプル大学ジャパンキャンパスの日ロ関係専門のジェームズ・ブラウンは指摘する。これまでの日本の行動は、2014年にハードルが低く設定されていたため、迅速かつ決断力のあるように見えるだけだという。
「領土問題や会談はすでに行き詰まっています。中国とロシアはすでに信じられないほど緊密なパートナーです。ロシアに融和的であろうとした試みはうまくいきませんでした。日本がより厳しい姿勢を取ることで失うものはあまりないと思います」とブラウンは語る。
しかし、日本のアプローチは、ロシアの動きがまだ初期段階であるとし、徐々に制裁を強化する同盟国と一致していると言う識者もいる。
東京のシンクタンク、株式会社外交政策研究所代表でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦は「ロシアによる将来的な攻撃を抑止するためには、集団的な措置が必要です」と語る。
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