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執筆者の写真Shunta Takahashi

『竜とそばかすの姫』は日本アニメの女性像を覆そうとしている【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.161】

日本で大ヒットしているアニメ映画『竜とそばかすの姫(註:英題は“Belle”)』は9月25日、ニューヨーク映画祭でアメリカデビューを飾る。


女性のエンパワーメントをテーマにしたこの作品は、少女や女性を弱く、空虚で、過度に性的な存在として描くことが多い日本の代表的なアニメ映画やグラフィック・ノベルのスタイルを覆すものとして注目されている。


「日本のアニメに登場する女性キャラクターは、性的搾取につながる欲望のレンズを通して描かれていることが多く、表現の自由だから、といってあまりに無視されていると感じています」と、本作の細田守監督は9月初め、東京郊外にある自身のアニメーションスタジオ「スタジオ地図」でのインタビュー取材で語った。

細田は、日本のアニメが女性や少女、そして美しく力強い存在とは何かについて、一般の人々の認識を形成してきたことに注目してもらいたいと話す。


「このような利用のされ方は、現実ではなく、ファンタジーの世界で起こっていることだということで正当化されてきました。しかし、そのような認識は確実に現実とつながっていて、影響を与えるだろうと感じています」


ポジティブな描写が増えた

アニメやマンガなど、日本のアニメーションは、日本有数の文化的輸出品であり、デジタルストリーミングサービスで人気を博している。


しかし、特に男性向けのテレビ番組におけるアニメの中の問題含みの女性の表象については、ジェンダー平等を推進する人々にとって懸念事項だった。そのような描写には、誇張された胸やほぼ裸の女の子のようなあからさまなものもあれば、女の子は悩める乙女で男の子の補助的な存在とされる物語のように些細なものもある。

近年、細田のような監督は、女性を軽視するような日本社会の考え方に挑戦しようとしている、と横浜国立大学でジェンダーとアニメ研究を専門とする須川亜紀子教授は言う。

「アニメには、ジェンダーのステレオタイプを生み出したり、壊したりする力があります」と、須川は説明する。


須川は、女性やLGBTQのアニメ監督を増やすなど、まだまだ改善の余地があると言う。


ポジティブなメッセージに共感続々


7月のカンヌ国際映画祭で同作が上映された際、細田監督は14分間にわたるスタンディングオベーションを受けた。コスプレイヤーたちはベルに扮している。先月開催されたフジロックフェスティバルには、動画のベルが「出演」し、映画のテーマソングを歌い上げた。


ソーシャルメディアでは、日本のファンは、この映画のポジティブなメッセージ、息を呑むようなビジュアル、そしてキャッチーな曲を絶賛している。


『竜とそばかすの姫』では、女性のエンパワーメントと善き力としてのテクノロジーについて、おそらく最も明確なメッセージが発されている。細田監督は、5歳の娘が成長していく過程で直面するであろう未来について考え、インスピレーションを受けたと話す。

「娘はまだ小学校入学前で、かなり内向的な性格なので、ソーシャルメディアを利用してネット上でさまざまなやり取りをするようになったら、どうするのだろう、と想像しました」

細田監督は、インターネット依存の高まりを警告する語り口へ、疑念を呈したかったと話す。


「若い世代にとっては、両方の世界に住むことが当たり前になり、両方の世界が現実になっています」「そして、インターネットは、彼らが声を上げて世界に出て行くための大きな役割を果たしているのです」


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