「LVCCループ」とは、2本の狭いトンネル、2ヵ所の地上折り返し地点、1つの地下ターミナルで構成された旅客輸送システムのこと。テスラとスペースXのCEOであるマスクが未来の交通手段として宣伝しているものだ。
これはロサンゼルスのひどすぎる交通渋滞に不満を募らせたマスクが、2016年に設立した輸送システムのスタートアップ企業「ボーリング・カンパニー」が手がけたプロジェクト第一弾だ。
当初のマスクは壮大な計画を抱いていた。その当時住んでいた住宅街であるベルエアに程近い地域、ウェストウッドから、ロサンゼルス国際空港までトンネルを掘り、電動スケートボードを使って時速150マイル(約160km)で車を運び、通勤を快適にするというものである。
ラスベガスで誕生したこのトンネルは、1時間に最大62台の車が走行し、4400人の乗客を運ぶことを想定しており、各ビル間の移動時間は徒歩30分から乗車2分に短縮される。
だがプロジェクトに批判的な人々いわく、この数字は誇張されている可能性があるのだという。そして彼らが反対を表明している対象はこのプロジェクトに限らない。効率性、安全性、アクセス性への懸念から、トンネル網「ベガス・ループ」に対しても反対している。
これはラスベガス全体をカバーするトンネル網で、個人出資による進行中のプロジェクトだ。しかし彼らの疑問や不安に対して、ボーリング・カンパニーは何も答えていない。
社会に役立つか、マスクのイカサマに終わるか
現在ネバダ州観光局は、来年6月までループを維持・運営する費用として、ボーリング・カンパニーに625万ドル(約6億8000万円)の追加費用を支払っている。このループはコンベンションの参加者を運ぶだけでなく、より大規模な拡張のためのテストケースにもなるのだ。
そしてこのプロジェクトが成功すれば、コンベンション・センターとカジノ、ダウンタウン、空港、スタジアムまでをも結ぶ「ベガス・ループ」全体をマスクが完成させてくれるものとヒルは期待している。
しかしラスベガスで完成したトンネルがどんなにピカピカでも、がっかりせずにはいられない。LVCCループがゆくゆくは当初の目的を達成し、約束通りの数のコンベンション参加者を運べるようになったとしても、コンセプト面では期待外れでしかない。
交通機関に革命をもたらすアイデアとして始まったものが、テスラ社と、ひいては5000万ドルをかけたマスク自身の広告にすぎなくなってしまったからだ。
夢物語のようなテクノロジーを現実化してきたその能力があるからこそ、ループ・システムには他の都市も関心を寄せている。
マスク自身は、揺るぎないファンたちがこのプロジェクトを喜んでくれると確信している。
その最新作は疑いなくマスクが天才であることのさらなる証明として受け取られるだろうと。LVCCループとラスベガスは、現実を生きる人々の多様なニーズを無視しているのではないか──そう批判し、疑問を呈している人々がいるとしても。
はたしてループ・システムは、マスクによる手先の早業なのか。それとも、交通機関を根本的に見直そうという大望が現実とぶつかったからこその結果なのだろうか
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