アメリカはコロナ禍の経済状況を抜け出しそうになっている。近くのスーパーに買い物にいくと、牛肉、豚肉、野菜などの値が上がっていることが感じられる。
またアメリカで価格が大きく値上がっているとしてメディアが報道しているもののひとつに住宅の値段がある。
アメリカの183の都市部のうち182の都市の中古一軒家の価格が上がっているという。中古一軒家の平均価格はアメリカで昨年から約16%の値上がりで約36万8000ドルとなっている。
「ウォール・ストリート・ジャーナル」は現在、住宅の売れ行きは2006年以来の伸びをみせていることを伝えている。
この「2006年以来」という話を聞くと、少し怖さを感じる。それは、この年頃からアメリカで住宅バブルが起き、2008年のリーマンショックに繋がっていった記憶があるからだ。
とはいえ現在、売りに出された多くの家が、数日内に複数の購入希望の申し込みを受ける状況にあるという。
ニューヨーク州の郊外の町キングストンでは住宅平均価格が35.5%上昇し、オハイオ州の都市部では32.8%の値上がりとなっているとその具体例が報道されている。
物価高は続くのか、それとも短期的なものなのか?
アメリカで価格が上がっているのは、住宅だけではない。「ニューヨーク・タイムズ」は5月12日付の記事で今年4月のアメリカの消費者物価指数が前年比で4.2%上昇したことを告
げた。これは2008年以来の急速な伸びだという。
この高い数字をアメリカ経済界はどうみているのだろうか。
バークレイズの米国主任経済学者であるマイケル・ガペンは上昇が短期的なものならアメリカ経済への影響は限定的だとしているのだ。
一方、FRBは、現在のインフレ目標を年率2%としている。また、現政権の財務長官のジャネット・イエレンは6月5日に「景気回復が続けば、今年のインフレ率は3%に達する可能性がある」と語った。
日本への影響は?
アメリカでのインフレの日本への影響を考えると、ひとつあげられるものにFRBの金利引上げ予測からのドル高傾向があるだろう。これは日本の輸出企業にとっては不利ではない。ドル高円安局面は輸出に頼る日本企業の株価を押し上げる可能性がある。
しかし、日本の大きな問題は経済成長だろう。OECDの日本のGDP成長率予測はアメリカの6.9%に比べ半分以下の2%半ば程度だ。
経済自体が成長しなければ、アメリカがインフレとなって物価が上がっても、日本人の購買力が上がらず日本での物価上昇は起こりにくい。
そんな状況のなかで、コモディティやサプライの世界的供給不足から、不足商品に対しての価格上昇が起こる可能性がある。そうなれば、部分的には日本の物価も上昇するが、それは経済が成長せず給与が上がらない、生活を犠牲としてのインフレ傾向となるだろう。
これは悲観的すぎる予測かも知れない。しかし、いろいろと考えあわせると今年から来年にかけては、今みられるアメリカのインフレ・給与上昇傾向を追い風とする自らの利益上昇の道を探るよい時期かも知れない。
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