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執筆者の写真Shunta Takahashi

ブレクジット後のイギリス、連合王国が解体する可能性が高まっている【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.27】

イギリスのジョンソン首相は、ブレクジットを実現させたが、同様にイギリスを形成する4つの国、特にスコットランドでも独立を求める声が高まっている。


2021年5月6日にはスコットランド議会選挙が開催されるが、その結果によっては独立の機運がさらに高まる可能性がある。同様に北アイルランドやウェールズでも英国離脱を目指す動きが生まれているという。

英誌「エコノミスト」によると、スコットランドではイギリスからの独立を問う住民投票が2014年に行われ、45%が独立を選択した。


その後、2016年のブレクジットの住民投票ではスコットランドの約7割の人々がEU残留に投票したにもかかわらず、配慮なくブレクジットが実行されたため、再度独立の是非を問う住民投票を求める声が高まっている。

このような独立推進の動きに対し、ジョンソンは現金をばらまき、連合政府の便益を強調することで独立を望む声を抑えようとしている。

一方、スコットランドが実際に独立するのは、経済的には容易ではない。近年、スコットランドの財政は悪化しており、英国全体と比べて財政赤字も大きい。


それらに加えてパンデミックの影響で、スコットランドの独立コストは急増している。独立した場合、スコットランドでは大幅な増税と支出カットが求められるが、それによってより手厚い福祉国家を望む国民の不満を買うことになると予想される。

北アイルランドでも独立の動き!?

北アイルランドには、アイルランドとの統一を目指す民族主義者と、イギリスの一部であることを支持する連邦主義者が存在し、明確に分断されている。

イギリスのEU離脱後、北アイルランドという国を保ってきた微妙なバランスが崩れつつあり、北アイルランドでも英国を離脱し、アイルランドとの統合を目指す声が高まっている。

イギリスがEUの一部であった頃は、北アイルランドはアイルランドとの間に実質的な国境がなく、住民も自由に行き来することができた。


そして、イギリスのEU離脱時には北アイルランド議定書を締結し、アイルランド共和国と北アイルランドの間には引き続き物理的な国境を設けないことが定められ、北アイルランドは実質的にEU単一市場に留まることとなった。

しかし、この政策によって、イギリス本土と北アイルランドとの間での取引に壁が生じ、イギリスとの間にわずかに距離が生まれた。それによって、連邦主義者は不安を感じるようになっていた。

4月初め、首都ベルファストなどで連邦主義者による1週間にわたる暴動が発生した。イングランド王室を支持する連邦主義者らは4月9日のフィリップ殿下の死を受けて拳を下ろしたが、いつ再び暴動が発生するかわからない。 北アイルランドは今後不安定化する可能性が高まっている。

このようにパンデミック渦の中で日本ではあまり報道は多くないが、イギリスのEU離脱はかなり大きな問題となっているのだ。



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