つま先にかゆみや痛みを伴う、しもやけのような湿疹ができた人がパンデミック中に急増したと、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じている。
症状を訴えたのは、主に10代から30代までの若年層で、医師らは不可解な現象として調査を続けてきたという。
今月5日に学術誌「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ダーマトロジー」上で発表されたフランスの研究によれば、この病変は、ウイルスへの曝露に応じた免疫系の過剰反応による可能性が高い。
免疫系がウイルスと戦うために戦闘モードに入るその過程で、細胞や組織が損傷を受けているのではないかと見られている。
同研究チームが「コロナのつま先(Covid toes)」に関する最初の分析をしたのは2020年4月。症状を訴えるパリのセントルイス病院の患者50人の血液と病変のある皮膚組織のサンプルを採取し、分析した。
その結果、採取したサンプルは高レベルの1型インターフェロン(体内でウイルスなどの異物の侵入に反応して細胞が分泌するタンパク質のこと。サイトカインの一種)を示した。これは、免疫系がウイルスと戦っていることを意味するが、同時に「高レベル」であると、損傷を引き起こす可能性もあると述べている。いわゆるサイトカインストームである。
サイトカイン(細胞が分泌したタンパク質)が分泌されるのは、身体を守るためだが、ウイルスの量が多くなるとサイトカインも”ストーム”のように大量に放出される。そうなると発熱や倦怠感、頭痛、凝固異常などが起きる。また、血栓形成にも繋がることもあると言われている。
他にも、同研究チームはこの分析で、高レベルの抗体も発見しており、それらも体の他の細胞を攻撃する可能性があると報告している。
ちなみに同研究の被験者の半数以上が、咳、息切れ、嗅覚喪失などの新型コロナへの感染を示唆する症状を示していたそう。だが「PCR検査の結果、被験者全員が陰性だった」という。
また、同様の分析を行ったドイツの研究チームの報告でも、「コロナのつま先」を訴えた若い男性被験者らは全員、陰性だった。ただし、被験者らは新型コロナへの軽度もしくは無症状の感染から数週間後に「コロナのつま先」を発症した可能性もあると、報告書の中で述べている。
その場合、ウイルスと戦うための「免疫系の反応が症状悪化の早期制御につながり、呼吸器疾患などを防いだ可能性もある」。
皮膚科医らは、「コロナのつま先を発症した人は、新型コロナへの重度の感染を経験する可能性は低い」と、同紙に語っている。免疫系の過剰反応によるものではあるが、症状は概ね、ウイルスに対する健康な免疫反応を示しているそうだ。
症状が出た患者に対し、医師らは局所または全身の抗炎症薬での治療を推奨している。
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