湯船を満杯にして、ざぶんと浸かったとしよう。すると、お湯が溢れ出る。お風呂に浸かったきみの体の分だけ、お湯が外へと押し出されてしまうからだ。
では、湯船にお湯が半分しか入っていないとしたらどうだろう。その場合も、きみが湯船に入れば、お湯に浸かった体積の分だけ水面が上昇する。どのくらい上昇するかは、湯船に加わったきみの体積と、その体積が分散する湯船の底の面積で求められる。水面の上昇幅は、加わった体積を底面の面積で割った数と等しくなる。
きみが知りたいのは、人間が全員海に入って「座ったら」どうなるか、ということだから、湯船の中で座ったときにお湯に浸かる、体のだいたい半分の体積の数字(14万4000立方cm÷2=7万2000立方cm)を計算に使おう。
つまり、水面の上昇幅は、きみの体積の半分を湯船の底面積で割って出た数になるわけだ。先ほどの大まかな数字を公式(加わった体積÷底面の面積=水面の上昇幅)に当てはめると……
72,000÷9,000=8
その答えは8cm。これならわかりやすいはずだ。
お風呂を海の大きさにして考えよう
今度は、海を一つの巨大な湯船だと考えてみよう。地球の表面は70%以上が海で覆われており、その面積はだいたい3億6000万平方km(360兆平方m)ある。人類全員が海の中に座ったときに海水面がどのくらい上昇するのかを計算するときは、人類の体積を割り出し、それを海の面積で割ればいい。
現在、地球にはおよそ80億人が住んでいる。人間は背格好がさまざまだし、赤ちゃんもいれば、大柄な大人もいる。ここではとりあえず、人類の平均身長を150cmとしよう。
平均体積は150cm×50cm×30cm=22万5000立方cmとして、海に座るとそれぞれ体の半分しか浸からないので、海水面を上昇させる一人分の体積は半分の11万2500立方cmだけだ。
だが、総人口が80億人だから、11万2500立方cm×80億人を計算すると、海に加わる体積は900兆立方cm(9億立方m)という途方もない数字になる。
ただし、海に加わるこの体積は、これまたとんでもなく広大な海全体に分散されることを忘れてはならない。湯船の計算と同じように、9億立方mを、海の面積360兆平方mで割ってみよう。
900,000,000÷360,000,000,000,000=0.0000025
その答えは……? 人類がみんなで海に座ると、海水面は0.0000025m(0.0025mm)上昇する。
人類が一人残らず、頭まですっぽりと海に浸かったとしても、海水面はその2倍の0.005mmしか上昇しない。これは、人間の髪の毛の直径にも満たない数字だ。
海は気が遠くなるほど広大だ。それに比べたら、人間はまさに「大海の一滴」に過ぎないことがわかる。
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