ある年齢のまま一生暮らせるとしたら、何歳がいいだろう?
西洋文化では若さが賛美されてきた。そう考えると、最近の調査で明らかになった「留まっていたい年齢」が9歳や23歳ではなく「36歳」だったのは驚きの事実かもしれない。
30〜45歳までを「成熟期」と名づけ、データを集めながら、この年代の人たち100人以上にインタビューをし、さらに600人以上からデータを集めた。
最初は、成熟期の大人たちが充実している一方で、葛藤もしているという結果を予期していた。この年代の人たちは、それまでの努力の報酬を手にしている。安定したキャリアがあり、家族や友人たちに囲まれ、心身ともに人生のピークを迎えているのだ。しかし、それと同時に深刻な試練も待ち受けている。
そこで、予測しうる最大の試練に「キャリアとケアの危機」と名づけた。
ところが、集めたデータを解析したところ、わずかな時間で多くの仕事をこなさなければならないことに対してストレスを感じていた一方で、彼らは深く満足しているとも答えていたのだ。彼らのストレスの源は、喜びの源でもあった。
データをより詳しく分析してみると、人々がほかの年齢ではなく、36歳のままでいたいと願う理由が見えてきた。
彼らは36歳こそ人生の最盛期で、自分が最も素晴らしい時期にいるように感じられると回答していた。キャリアと人間関係を築くための何年もの努力のあと、「ついに自分は成功した」と思えるのだという。
若返るより肌がたるむほうがマシ
20代から努力し続けてキャリアや人間関係、人生全般のスキルを身に着けてきたと感じる一方、回答者たちは、今まで以上に自信がつき、自分自身を深く理解できるようになったと言う。
36歳のジョディは20代以降を振り返り、自分が身につけてきた知恵をありがたく思っていると話す。
「今では、20代の10年間で積んだ人生経験があります。失敗したこともあったけれど、それは必ずしも当時の自分が間違っていたというわけではないんです。今の自分が求めていないもの、自分に合っていないものを知る良い機会なんですよ。
だから30代になっても、上手くいきそうもない相手と何回もデートして時間をムダにすることもなくなります。すでにデートの経験を積んでいるので、『ありがとう。でも結構よ』と言える自信とプライドがあるんです。日常の厄介事のタネになる人々を遠ざけるので、友人たちとの絆もより親密になります」
満場一致の理想はない
インタビューは基本的に、中流階級の北米人たちを対象としており、彼らの大半が白人。労働階級の人々や、根深い人種差別に数十年も耐えなければならなかった人々にとって、「成熟期」はここまでバラ色というわけにはいかないだろう。
だが、人々が20代や10代でなく、30代こそ人生の全盛期であり、もう一度戻りたいと考えているという事実を踏まえて、私たちは30代という時期にもっと目を向けるべきだ。
実際、徐々にではあるが30代への注目が高まってきている。最近ケイリーン・シェーファーが出版した名著『でも、あなたはまだとっても若い』がある。同書のなかでシェーファーは、転職したり、人間関係をやりくりしたり、出産適齢期の問題に向き合ったりする人々の物語を伝えている。
成熟期の大人たちの試練とメリットをより良く理解して、この黄金期が振り返りたくなる思い出を与えてくれるだけでなく、これから先の人生の土台をしっかりと築いてくれるということを確認すれば、成熟期の人々がもっと生きやすくなる社会が待っているだろう。
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