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執筆者の写真Shunta Takahashi

「人間らしく生きられる働き方」ができる未来をどう実現すればいいのか?【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.48】

スペイン政府は、パンデミック後に「週4日勤務(週32時間労働)」制を本格導入して経済再建を目指すと発表した。すでに企業に補助金を支給して、従業員の賃金はカットすることなく、勤務時間のみを削減する試験導入に踏み切っている。

こうしたスペインの取り組みは「人間らしい生き方」ができる未来を我々に示している。人間にとってもっとも限られた資源である「時間」を資本家の手から取り戻し、新たに生まれた時間をゆったりと過ごしたりできる生き方だ。

現代における「仕事」は権力の露骨な非対称構造に組み込まれており、役職や報酬に差がつけられている。「仕事」というものをさらに公平で、深いやりがいが感じられる行為へと変えるには、こうした不均衡をもたらしている3つの構造的要因を克服することから始めなくてはならない。

変えるべき3つの構造とは

1.労働における基本条件の問題。 資本主義社会に生きる大多数の人は、生活のために自らの労働力を切り売りする以外に選択肢がない。職場には「社内政府」が依然として存在し、さまざまな格差と不平等、ヒエラルキーを生んでいる。

2.低迷を続けるグローバル資本主義の問題。 世界経済が長期的下降に転じてからは生産、投資、雇用、賃金など主要な経済指標が軒並み鈍化している。労働需要の低下が招いたのは大量失業ではなく、不完全雇用の常態化だ。


3.資本主義が、天然資源と無給労働による「社会的再生産」の両面から富を囲い込んで搾取している問題。 長年にわたりジェンダー、人種、階級間の不平等が繰り返されてきた既存の資本主義を推進させている力と構造的不正義の根底には、意図的な労働力と自然の「買い叩き」があり、これはしばしば暴走する。

自由で新しい「仕事のあり方」を実現するステップ

では、現在の働き方とまったく異なるこれからの「働き方」を構築するにはどうすればいいのか? 

目的意識と刺激に満ち、需要に的確に応え、誰もが他者と別け隔てなく持てる力をいかんなく発揮できる働き方。それはひとえに、現在の「仕事」を形作るシステムをどう再創造するかにかかっているのだ。

たとえば、現行システムでは資源と権利の分配方式が決められている。労働市場に参入する時期と参入方法の違い、そして就業場所でどれだけ経済力が得られるかによって格差が生じる。


経済システムを生み出し、維持しているのは、政治的決定や政策だ。経済システムを社会的正義や持続可能性、誰もが人間らしい生活を享受できる共存共栄の観点に立って作り変えることは充分可能だ。


そのためには民主主義を経済原理と職場にも拡張し、働き方と社会の再創造を目指し、そして公正かつ注意深い脱炭素化の取り組みを加速させ、同時に脱商品化も進めるのだ。

これらはすべて実行可能であり、脱炭素後の健全な未来型経済を築くためにも、必ず実現させなければならない。


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