高額報酬の投資銀行から逃げ出す新人バンカーが続出する理由【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.147】

何十年もの間、投資銀行業務は、ウォール街の花形職業の1つであり毎年、何千人もの希望にあふれた若者たちが、アナリストとしてキャリアをスタートするチャンスを求めて、ゴールドマン・サックス、JPモルガン、ソロモン・ブラザーズといった銀行の門戸を叩いた。


なお、アナリストとは、投資銀行家を目指す新人が、財務モデルの構築や企業評価の手法を学ぶ初歩レベルのポジションだ。


彼らは、最終的には数百万ドルの報酬が約束された地位と引き換えに、長時間の過酷な仕事を受け入れた。


しかし、昨今の新卒者たちは、熾烈なアナリスト職に2年間も身を投じるのはごめんだと思いはじめている。初任給が16万ドル(約1750万円)に達するにもかかわらずだ。IT業界や他の金融業界が、勤務時間の短縮や柔軟な働き方を約束するようになったいま、その傾向はいっそう強まっている。


履歴書に書くために必要な、最低限の期間しか働く気はないと考えている者もいる。

昨年、米国のトップランクのビジネススクール5校では、経営学修士(MBA)プログラムの卒業生のうち、平均7%が投資銀行のフルタイムの職務に就き、2016年の9%から減少となった。


今年2月には、ゴールドマンのアナリスト13人が、過酷な長時間労働と健康状態の悪化に関するパワーポイント資料を作成し、上司の前でプレゼンを行った。

「この業界はかつてほど魅力的ではなくなりました」と語るのは、アクセンチュアで金融サービス業界の採用を専門とするコンサルタントのロブ・ディックスだ。

長時間労働の伝統

銀行への就職志望者の訓練を支援しているウォール・ストリート・プレップ社の試算によると、ニューヨークの投資銀行に勤める1年目のアナリストは、ボーナス込みで年16万ドル稼げるという。


しかし、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン、バークレイズなど複数の銀行は、ジュニアバンカーの給与をさらに引き上げている。


銀行勤務を経て、今年ベンチャーキャピタルを設立した37歳のジェイミー・リーは、「IT業界の興隆で、状況は一変しました」と話す。「望んだ待遇を受けられない職に留まり続けるには、機会費用が単純に高すぎるのです」


リーの父親であるJPモルガンのバンカー、ジミー・リーは、2015年に亡くなるまで、何十年にもわたり業界で最も名の知れた人物の一人で、フェイスブックやゼネラルモーターズと

いった企業に助言を与えてきた。


しかし、2000年代半ばにリーが大学を卒業するとき、父親はアナリストの道に進むのはやめておけと助言した。


給料がすべてではない

アリーバ・カマルは、2016年にマウント・ホリヨーク大学を卒業する前、マンハッタンのミッドタウンにあるバンク・オブ・アメリカのビルで、複雑な債券商品を扱うトレーディング・インターンとして、ひと夏働いた。朝8時30分に出社し、しばしば夜10時30分まで残って、複雑な担当商品について習得しようとした。彼女はパキスタンに住む家族に送金もしていた。


「留学生なら、早い段階で就職先の選択肢は金融とITの2つだと気づくはずです」と、29歳のカマルは言った。両業界の給料が最も高く、就労ビザの取得にも役立つので、と。

しかし、その夏が終わると、彼女はIT業界の方へ引き寄せられていった。「いくら給料が途方もなく高いとしても、好きになれない仕事を1日14〜15時間もしたくありません」というのだ。現在、彼女はアップルで働いている。

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