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世界の権力者たちの脱税と隠し財産を暴いた「パンドラ文書」の衝撃【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.167】

世界の首脳や富豪らがタックスヘイブン(租税回避地)を利用して課税逃れや資産隠しを行っている記録、通称「パンドラ文書」が白日の下にさらされ、衝撃を呼んでいる。


国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手し、米紙「ワシントン・ポスト」や英紙「ガーディアン」などのメディアが分析した。同様の脱税を暴いた「パナマ文書」は5年前に流出して世界を震撼させたが、今回の「パンドラ文書」はよりスケールが大きいもので、明らかになった金融取引や人物名は膨大な数にのぼる。


パナマ文書は1社の法律企業から流出した記録だったが、パンドラ文書の内容はスイスやシンガポール、ベリーズ、英領バージン諸島などで金融サービスを提供する14社から入手した約1200万件の内部書類だ。ワシントン・ポストによれば、約2万9000件以上のオフショア口座が特定され、世界各国・地域の政治家や政府高官330人以上の名前が挙がっている。


プーチンの愛人への怪しいカネの流れ

ヨルダンのアブドラ国王は、多数のペーパーカンパニーを隠れ蓑にして、カリフォルニア州マリブやロンドン、ワシントンDCなどで計1億ドル以上の高級不動産を購入していた。


ロシアのウラジーミル・プーチン大統領をめぐっては、彼の愛人とされていたロシア人女性が、モナコに地中海を望む大邸宅を所有していることが判明。彼女がこの物件を手に入れたのは、プーチンの子供であると報じられている女の子を出産した直後だったという。

また、今週に総選挙を控えるチェコのアンドレイ・バビシュ首相は、2009年にフランスのカンヌ近郊で2200万ドルの映画館とスイミングプール(2つ)つき豪邸を購入していたことが暴かれた。バビシュは欧州のエリート層を批判し、ポピュリストを自認してきただけに、パンドラ文書のリークは総選挙に影響をおよぼすかもしれない。


ちなみに、パナマ文書が流出した際には、アイスランドとパキスタンの首相が辞任に追い込まれている。


パンドラ文書でほかに名前が挙がっている首脳は、ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領、エクアドルのギジェルモ・ラッソ大統領、チリのセバスティアン・ピニェラ大統領など。元首脳ではトニー・ブレア英首相、エンタメ界ではコロンビアのポップスターのシャキーラ。加えて、中国のエリート層やサウジアラビアの王室メンバーの名前も挙がっているという。

ベゾスやバフェットは?

その一方、ジェフ・ベゾスやイーロン・マスク、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットなどのアメリカの富豪の名前は出てこなかったと、ワシントン・ポストは報じている。金融の専門家たちはこの理由として、アメリカでは富裕層に対する税率が低いためにタックスヘイブンをたいして必要としていないからだとしつつ、パンドラ文書ではカバーされていないケイマン諸島などを利用している可能性を指摘した。


ベゾスやバフェットらの名前が浮上しなかったとはいえ、アメリカにとって衝撃的な内容がなかったわけではない。それは、サウスダコタ州がタックスヘイブンになっている証拠が示されたことだ。


同州ではカリブ海のタックスヘイブンと同様、金融取引に関して秘密を保持する法律が制定されている。ワシントン・ポストによれば、そのサウスダコタにある複数の信託会社に、外国首脳らの個人資産がひそかに移されていたことがわかったという。

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