意外と知られていないかもしれないが、今スマホなどの絵文字では、多様な人種を表すために肌の色が変えられるようになっている。
実はこのアイデアを初めに形にしたアメリカの黒人女性であるカトリーナ・パロットはアップルにアイデアを盗まれ、彼女は充分な対価を得られなかった。そのため、現在著作権侵害でアップルを起訴し、裁判が進行している。
この件は、モバイルアプリストアにおけるアプリ開発者と巨大テック企業の不均衡な力関係を明らかにする出来事だ。こういったアプリ開発者のアイデアは容易に模倣され、テック企業によって押しのけられてしまう。
アップルによって価値を失われた企業は多数あった!?
実は年間推定720億ドルのiPhoneアプリ市場で競うモバイルアプリの開発者は、App Storeのルールを独自に設定しているアップルの強権に直面することが多い。
そこで昨年9月、iPhone開発者たちはアップルの規制を緩和させるための連合を結成した。その規制ゆえに、アップル社が競合他社に対して不当に優位に立ち、イノベーションを阻害しているという。
アップルはApp Storeなどで見つけた目新しい機能を自社のOSに組み込んできた長い歴史がある。スポティファイなどは、競合するサービスをアップルが自ら作り、モバイルソフトウェアシステムiOSをコントロールする権限を利用して優位に競争していると非難している。
アップルに梯子を外される、、、
2013年、絵文字はコミュニケーションのツールとしてアメリカで爆発的に人気が上昇していた。パロットは、自分に似た絵文字で自分を表現できたらいいのにという娘の言葉から着想を得て、それを可能にするアプリを作ることを決めた。
そしてプログラマーを雇い、どんな人種でも表現できるであろう、多様な5つの肌の色を用いたアプリの制作にとりかかった。
その後、2014年5月にパロットはアドビ社で行われた会議の場に出席し、会議で唯一の黒人参加者だったパロットは536種類の多様な絵文字を提出した。
そこでパロットは、アップルのシニアソフトウェアエンジニアであるピーター・エドバーグとあった。
自社の絵文字が多様性に欠けていることはアップルも認識しており、多様な選択肢の開発に関心があるとエドバーグが言い、パロットにアップルの本社へ来てほしいと言った。
その翌日、パロットはアップル本社に行き、エドバーグとシニア・ディレクターのセリア・ビジルと会った。
パロットはビジルに印刷した企画書と絵文字のデザインのデータが入ったUSBメモリーを渡した。そして、特許権使用料の取り決めや絵文字の供与に関する契約が成立する可能性は充分あると考えながら、会議を後にした。
その後、何の連絡もないまま数週間が過ぎ、10月になってようやくアップルのエドバーグから連絡がきた。エドバーグはメールで、アップルは絵文字プロジェクトでパロットとは手を組まないと通達してきたという。
こうして、アップルに梯子を外されたわけだが、そのニュースを知っている人はどれくらいいるだろうか?
これこそが現代社会の資本主義での問題点ではないだろうか。
ぜひともこの1件をきっかけに色々と考える機会を持つといいのではないだろうか?
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