「台湾メロンパン」が何度も炎上─タピオカの次を狙う日本の安易な“台湾”ビジネス【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.39】

いま、日本の飲食業界では「台湾メロンパン」を謳う菓子パンが続々登場している。だが、にわか「台湾メロンパン」ブームの陰には大きな誤解が潜んでいた。

ファストフードチェーン「ファーストキッチン」は4月27日から、一部店舗で、新メニュー「台湾メロンパン・菠蘿包」の販売を開始した。


「菠蘿包(ボーローボウ)」は香港のベーカリーで提供される菓子パンのこと。「菠蘿」はパイナップルの意で、表面は厚めのクッキー生地で覆って焼き上げ、凹凸のある見た目がパイナップルに似ていることから名付けられた。

ところが、ファーストキッチンの告知を見たり実際に購入したりした人から「菠蘿包は台湾と無関係、香港のパンだ!」との抗議が相次ぐ。ファーストキッチンは抗議を受けて5月1日から、くだんの商品を「香港メロンパン・菠蘿包」と改名した。

1960年代以降、香港では菠蘿包に厚切りカットした冷たいバターを挟んで「菠蘿油(ボーローヤウ)」として売るのが定番になった。そして台湾には菠蘿油は2010年ごろ伝わり、夜市の屋台や専門店で「港式菠蘿麺包(香港風パイナップルパン)」として販売されている。

しかしファーストキッチンが売り出したのは、厚切りバターを挟み込んだ、香港の「菠蘿油」を模したもの(ゆえに、菠蘿包ではなく正しくは菠蘿油)。台湾の「哈蜜瓜麺包」ではない。


なのに、菠蘿包を「台湾メロンパン」として売り出したことに非難が殺到。騒動を受けて運営会社のウェンディーズ・ファーストキッチン広報部は4月30日、謝罪文を発表する。

だがこの謝罪文は、火に油を注ぐ結果になった。菠蘿包、菠蘿油はそもそも「台湾」でも「メロンパン」でもなく、香港名物だということを知っていながら、マーケティング戦略で台湾ブームに乗っかり、「台湾メロンパン」と名付ければ日本人客が釣れると考えたからだ。


ファーストキッチンは前述のとおり商品名の「台湾」を「香港」に変えただけで、5店舗でひっそり販売を続けている。

台湾ではそれほど食べない

「台湾メロンパン」に続き今、日本各地に広まっているのが「台湾カステラ」だ。

台湾では「現烤蛋糕(シエンカオ・ダンガオ=焼きたてケーキ)」「古早味蛋糕(グゥザオウェイ・ダンガオ=昔ながらのケーキ)」と呼ばれ、もとよりカステラとは関係がない。


「台湾カステラ」は韓国で2016年11月から「テマン・カステルラ(台湾カステラ)」として大ブームを巻き起こした。最大チェーンの「デワン・カステルラ(大王カステラ)」はピーク時に400店以上出店。だが2017年3月、テレビの調査報道番組が、無添加の虚偽や売れ残り商品の偽装販売を暴き、バブルは一気に弾ける。


日本では今、「台湾カステラ」のほか「台湾ドーナツ」「台湾プリンドリンク」で一発当てようとする動きがあり、それらにはまたしても安易さ、危うさが色濃い。


台湾人はそもそも、菠蘿油やメロンパン、台湾カステラ、台湾ドーナツ、台湾プリンドリンクを「現地で大人気!」などと喧伝されるほど食べないんだけどね。


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