「お金で幸せは買えない」とよく言われるけれど、それはまったくの真実ではないかもしれない。私たち「一般人」の生活レベルでもお金の使い方次第で幸福度を高めることができると、社会科学者は説く。
2010年、ノーベル経済学賞を受賞した2人が「お金を稼ぐほどその生活の質が向上し、低所得者は補助金が出ればより幸せな気分になる」という ことを緻密なデータ分析で示したのだ。
ところがこの研究によれば、年収が7万5000ドルを超えると、それ以上は幸福感が高まることはないという。2021年1月、さらに別の経済学者が同じテーマについて新たな論文を発表した。それは、先の論文で指摘されている収入レベルを超えたとしても、幸福度は上がり続けるという内容だった。
しかしこれは、お金があれば無限に幸せを手にすることができるといっているわけではない。新たな研究によって示されたのは単に「幸福度の減少は平均的に、より高収入の人たちのあいだにみられる」ということだ。
大抵の人は、ある基準を越えるといくら収入が増えても幸福感は高まらない。しかしだからといって、その人たちが幸せになれないということではない。実際、収入の規模にかかわらず、とくに知識やスキルがなくても、幸福感を高めるためにお金を使うことは誰だってできるのだ。
お金に駆り立てられ、不幸になる私たち
経済的な状況がある水準を下回っている場合、より多くのお金を得ようとすることは、理にかなった方法だ。
収入が増えることで、貧困によって生じる問題が緩和されるからだ。カロリー不足を解消し、子供に教育を受けさせ、病院に行くことができる。つまり、不幸や不運から「遠ざかる」ことができるのだ。
ポジティブな感情を高め、ネガティブな感情を抑えるには、それぞれに独立した神経学的プロセスを必要とする。だが、この2つの違いを理解している人はほとんどいない。
健全にお金を使っているかによって幸福感が大きく左右されること
ちなみに、なんらかの経験を得るためにお金を使うこと、時間を買うこと、誰かの助けになるためにお金を寄付することは、確実に幸福感を高める。
これらすべてのアプローチに共通する重要な要因は「他者」である。ある経験にお金を払う場合、それが休暇であれ単なる外食であれ、大好きな人とその体験をわかち合えば、より幸せな気持ちになれる。
友人と家族は、幸福における重要な2大要素だ。こうした人たちと楽しい経験を共有することは、ブランドものの靴とは違い、これから先もずっと残る快い記憶を与えてくれる。
収入がある人なら誰しも、そのお金を使って幸福を買い、その過程で何かを少し改善することができる。
そんなにお金持ちでなくとも、日常生活におけるいくつかのストレス要因を取り除くために、余分なお金を使うことができる。
基本的な要求を満たすのに充分なお金があるときは、物質的な刺激に負けず、自分の周りの人たちと楽しむ時間を作ることもできる。
そしてもし余分な収入が得られるほどあなたが幸運であれば、それを誰かとわかち合い、今よりももっと他人を愛するための手段にすることで「お金」を「幸せの源」に変えることだってできるのだ。
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