マイクロソフトという巨大IT企業を率いるサティア・ナデラは「フィナンシャル・タイムズ」の2019年の記事でこう書いている。
「2014年の時点では、多くの人が、マイクロソフトを技術的に終わりに近づいた会社だと考えていた。ところが、いまこの会社は再びワクワクしながら働ける場になっている」
サティア・ナデラがCEOになってからのマイクロソフトの快進撃には目覚ましいものがある。クラウドコンピューティングとAIに力を注ぎ、時価総額を1兆ドル(約108兆円)以上、引き上げた。
現在のマイクロソフトの時価総額は1.6兆ドル(約115兆円)だが、これはドイツ株価指数を構成するドイツの主要企業30社の時価総額の合計を上回る額だ。
2020年は非常の年で、新型コロナウイルス感染症によって世界全体で150万人が死亡し、世界経済も打撃を受けた。
今回の危機でマイクロソフトはどんな影響を受けたのか? この質問に対してナデラはこう答える。
「少なくとも自分たちには、融通の利くリソースやソフトウェアやデジタル技術がある。これを使えば、自分たちのやり方を変えたり、方針を転換したりして、新しい状況に対応できる。場合によっては逆境を乗り越えるレジリエンスの力も発揮できるかもしれない」
組織がテール・イベントを切り抜けるには
また彼はオンライン化されるようになっていてデジタルへの依存度が増しており、そのせいで、脆弱になってしまった可能性はないか?ということに対してはこう答えている。
「まず認識すべきは、もう後戻りはないということ。デジタル技術は私たちの経済や生活や社会の一部分になっており、その度合いは今後ますます強くなっていきます。次にどんなテール・イベントが起きるのかを予測できる人はいないが、デジタル技術を取り入れている組織ほど、そのテール・イベントを切り抜けられるはず」
さらに続けて
「デジタル技術がますます重要な役割を果たすようになるのは不可避であって、大事なのはテクノロジーへの信頼を築くこと。サイバー攻撃の脅威に最もさらされているのは市民や中小企業といった弱者なのです」
ということで、テクノロジーへの信頼を高めることは、テクノロジーで変化をもたらすことと同じくらいの最重要の課題だと考えている。
マイクロソフトの成功とは?
最後に彼は巨大IT企業に対する規制についてこう回答している。
「マイクロソフトの成功とは、根本的には、私たちの顧客の成功のことであり、私たちを取り囲む世界の成功のことです。
それは公共部門の効率性を引き上げることかもしれません。英国やインドなどで教育や医療の成果を上げることかもしれません。そういうことができていないなら、マイクロソフトは存在すべきではないし、どんな巨大IT企業も存在すべきではありません。
”私たちは企業としてどんな形で世界に参画しようとしているのか。どうすれば協力し合って世界をよくして、成功できるのか”
私はそのような観点から企業を見ていくのが好きです。企業の責任とは、世界の問題を解決したり、人々や地球が直面する課題に対して、ためになる解決策を提供したりすることだと考えているからです。」
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