「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、スポティファイはポッドキャストの自動文字起こし機能を追加することを、マイクロソフトはWindows10の視覚障がい者向け機能を更新することを発表した。
テクノロジーに特化したメディア「レスト・オブ・ワールド」によると、グーグルは昨年「Sound Notifications(音検知通知)」をリリースしている。これは特定の物音に限って常時検出し、スマホユーザーに通知する機能だ。犬が吠えていたり、家電製品が鳴っていたりすると知らせてくれる。
またツイッターは、音声や動画に自動字幕がつく機能を開発中だ。フェイスブックは英語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ドイツ語、フランス語のライブ動画コンテンツに、自動で字幕がつけられるオプションを追加した。
これらはすべて、障がいのある人が生活しやすくするうえで重要な取り組みだろう。
「ダイバーシティ&インクルージョン」がキーワードになっているが…
ここ数年で障がい者のための技術は大きく進歩してきた。現在もっとも障がい者向けのテクノロジーが盛り上がっているのは、エクアドルやインドなどの途上国だ。
だが、そうした国々のスタートアップ企業が「シリコンバレー的な成功」をつかめたことは未だない。
たとえば2017年、エクアドルのスタートアップ企業「Talov」が開発した「SpeakLiz」というアプリがある。これはテキストを音声に変換し、声を書き起こし、救急車の音、赤ちゃんの泣き声などの音を聞き分け、聴覚障がい者に知らせるものだ。
「SpeakLiz」とは81ヵ国で7000人以上のユーザーを抱えており、35の言語に対応しているという。
だが「Talov」の前途は多難だ。出資者はおらず、創業者らが身銭を切っているが、それでもカネは足りない。
過小評価してはいけない市場
「アシスティブ・テクノロジー」とは、障がいがある人の日常生活をサポートする技術製品やサービスの総称だ。
これには車椅子や補聴器、義肢などの製品、そしてチャットボットやAIなど、テクノロジーをベースにしたソリューションも含まれる。
「こうした技術の市場はかなり大きい。世界には「10億人以上の人々が障がいを持っていると推定されており、そのうちの80%は途上国に住んでいる」という。そして障がいは人のアイデンティティにおいても「流動的なカテゴリー」であり、いつでも誰にでも当てはまりうるものだ。
そう考えればアシスティブ・テクノロジーは非常に重要なものだが、需要に比べて供給は遅れている。
世界最多のマイノリティとも言えるにもかかわらず、障がい者のニーズを満たすテクノロジーは不充分だ。その8割が暮らしているという途上国のみならず、カネや技術が集まる先進国がリードしていく必要があるだろう。
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