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執筆者の写真Shunta Takahashi

少々お腹が出ていてもオッケー? アメリカ空軍の身体能力テストが「緩くなった」理由【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.97】

世界最大の空軍である、アメリカ空軍(以下、米空軍)が発表した「身体能力テストの変更」にどよめきが起きている。


これまで米空軍は、身体能力テストの「有酸素運動能力」項目の体力測定方法として「持久走」を必須としていたが、今後は持久走だけでなく、25mシャトルラン(往復持久走)、ウォーキングのいずれかを選択できるようになる。

これに対し、「持久走ができなくても、歩ければいいってこと?」などの声がネット上で上がっている。


コア強度測定でも、プランクか腹筋のどちらかを選択可とし、また、腕立て伏せも、最も一般的な手のひらとつま先で体を支えて両腕を屈伸する運動ができなければ、手のひらとつま先で体を支えた状態で、手を交互にあげるという別のやり方を選択できるようになるという。この新しい採用テストの試行は2022年1月に開始される予定だ。


今回の採用テストの変更について、前述のチーフマスター軍曹は「テストに柔軟性を取り入れるため」だと語っている。だが、米空軍がなぜテストに柔軟性を取り入れる必要があると判断したのかが不明瞭であり、市民は「空軍テストが以前より緩くなっている」「空軍が採用基準を下げた」との見解をネット上で展開している。


そして、米空軍が「テストを緩くした」理由については、「志願者数の減少に対応するためだろう」との声が大きい。


米空軍の任務は「アメリカ合衆国を防衛し、航空宇宙戦力によってその国益を守ること」であるが、今後は少々お腹が出てても、腕立て伏せが充分にできなくても、米空軍になれる可能性が広がることに対し、「時代は変わった」「いざと言う時に中国やロシアの攻撃から市民を守れるのか」など、さまざまな反応が起きている。


徴兵制なし 入隊は任意とはいえど 


米紙「ニューヨーク・タイムズ」によれば、近年のアメリカの新規入隊者の半数以上が「家族に軍事に関わっている人がいる」と答えている。逆説的には、家族やコミュニティ内に軍事に関わっている人がいない若者が、入隊に関心を持つケースは稀になっていることを意味する。


かつて「米国軍人になるというキャリアにあった輝きは、過去約20年間に米軍が関与した紛争によって失われた」と、同紙は述べている。


アメリカは徴兵制をとっておらず、入隊は任意である。しかし、愛国心だけで充分な人員を

確保していたかというと、決してそうではない。入隊すれば、生活費がかからず学費の一部が免除になるなど、経済的なメリットを理由に入隊する若者は少なくない。


実際、軍のリクルーターらが公立高校を訪問し、経済的に恵まれない学生を積極的にリクルートしていることがたびたび報じられてきた。しかし、近年はリベラル色の強いロサンゼルス州やニューヨーク州などの地域では、軍のリクルーターが公立学校を訪問できる回数や時期により厳しい管理が設けられるようになり、若者をリクルートするのが難しくなっているようだ。


そのような状況の中で、米空軍は、インフルエンサーを活用したマーケティングも行なっている。


また、リクルーターは、特別戦闘部隊の候補者を集めるためにクロスフィットのコンテストに参加し、サイバー軍候補者を集めるためにオンラインゲーム・フォーラムに出向くなど、あの手この手で人材確保に奔走しているようだ。




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