ピザの上のパイナップルが許せない? 人はなぜハワイアンピザに過剰反応するのか【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.47】

ピザの上のパイナップルの話となると、人はなぜかムキになる。嫌う者、好む者、どちらの反応も仰々しい。しかも、このピザの上のパイナップルを支持するか否かの議論に人は自ら進んで参入する。

このピザの上のパイナップル論争は、40年以上前からあったようだが、インターネットの出現により、事あるごとに論争の的になるようになってしまった。


ネット上での議論が異様なまでに白熱してしまったきっかけは、2017年にアイスランドの大統領グズニ・ヨハンネソンが、「できることなら、ピザの上にパイナップルをのせることを

違法にしたい」と、冗談半分で発言したことだと言われている。

世界を動かすほどの権力があるとは言いがたい小国の大統領の取るに足らない発言を、米紙「ニューヨーク・タイムズ」や米フード誌「イーター」など、多数のメディアがこぞって取

り上げた。


結局、この騒ぎにはニュージーランドの当時の首相やカナダのジャスティン・トルドー首相までもが参入し、どちらもソーシャルメディア上で「ピザの上のパイナップルを支持」し、「#TeamPineapple」への連帯を表明した。


憎しみを表すための「安全な」代替法に過ぎない


「ワシントン・ポスト」に寄稿するジャーナリストのテディ・アメナーバルは、こう語っている。

ハワイアンピザを嫌うことは、自分以外の誰かや他のグループへの憎しみを表すための「安全な」代替法に過ぎない、と。


ハワイアンピザが誕生したのは1962年、ギリシャ生まれのカナダ人、サム・パノプロスが開発したと言われている。


英誌「エコノミスト」によれば、当時の北米ではまだピザ自体が新しく、新聞に掲載されるレシピ欄では、BBQチキンやベイクドポテト、サワークリームなど、さまざまなトッピングを提案されていたと言う。


なかには、モッツアレラチーズの上に砂糖やシナモン、バナナを添えてピザをデザートとして食べる提案もあったそうだ。ハワイアンピザも、そんなトマトとチーズが乗ったイタリアの伝統的なピザとはまったくの別物の創作系ピザのひとつに過ぎなかった。


だが、80年代になるとイタリア系アメリカ人の社会階級が上がり、彼らの発言力が増した。本場イタリアの伝統的なものを良しとし、それ以外のものを蔑(さげす)む傾向も高まるなかで、ハワイアンピザは特に目の敵にされた。


イタリア系の有名シェフのなかには「あんなものは絶対に作らない」などと軽蔑する者もいた。一方、ハワイアンピザをメニューに入れるピザのチェーン店は多かった。理由は、言うまでもなく「売れるから」。つまり、アメリカでハワイアンピザを好む人はそれなりに多いのだ。


ちなみに、フードライターのアルン・グプタは過去に、「人のハワイアンピザに対する軽蔑は、文化的エリート主義に関連している」など発言していたと、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は述べている。


図らずも、二極化の象徴となってしまったハワイアンピザ。生みの親のパノプロスは、「なぜ、そんなに嫌われてしまったのか」を最後まで理解できずに、2017年に亡くなったそうだ。

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