先進国はいつから異様なほど体を洗いまくるようになったのか【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.45】

四六時中マスクを着用しているジルは、今回のロックダウンがかなりこたえたという。歯磨きが1日おきだったこともあるジルは、数ヵ月ぶりに予約した歯科医で痛い思いをした。

今は口腔衛生に気を配る努力をしているが、一方で、ロックダウン生活も悪いことばかりではなかったという。


「以前のように毎日メイクしなくなったら、かえって肌の調子がよくなりました。メイクで塗り固めていない、すっぴんの肌のままのほうがいいのだとわかったんです」

また、衛生習慣の基準を緩めたことで、生活の質と髪質をともに向上させた女性もいる。

ダニエル・ウォーデルは、毎晩の習慣だった洗髪とブローを週1回だけにした。彼女いわく、髪がこの新しい洗髪習慣になじむまで1年近くかかったが、髪は以前にも増して健康になったという。


体を洗うことはかつて「儀礼的なこと」だった


医師のジェームズ・ハンブリンいわく、「清潔さ」に対する意識がこれほどまでに高くなったのはきわめて最近のことにすぎないという。人間の文明において、体を洗うことは衛生面ではなく、儀礼上の目的で行われていた時代のほうが長かった。


初期の石鹸は、体や衣服がよほど汚れた場合のみ使用された。しかも成分は強く、皮膚と服の繊維に有害だったのだ。


しかし19世紀半ば以降に急速に進んだ工業化と、イギリス国内で18世紀から存続していた「石鹸税」の廃止を受け、石鹸の価格は下がった。結果、「石鹸産業は『入浴は口にするのもはばかられる秘めた贅沢』という考えをひっくり返すことに躍起となった。

ここ数年だけ見ても、イギリスを含む先進国では、文字どおり「湯水のごとく」水を大量に使って体の清潔度をさらに高めている。


抗菌性製品を愛用し、それを使用して洗顔する人もますます増えていた。しかし近年、この衛生習慣が肌の常在菌であるマイクロバイオーム乱し、悪影響をおよぼす可能性があることが明らかになってきている。


炎症性疾患や自己免疫疾患は、人体に有益な微生物との接触の減少と関連があるのだ。


ポスト・コロナの衛生習慣はどうなる?

パンデミックがもたらした一連の新習慣は定着するだろうか? パーソナルケア業界は、この傾向は今後も長く続くと見ている。


しかし、今は外出制限が緩和されつつあり、消費者はパンデミック以前の日常生活にある程度戻りたいとも考えているため、パーソナルケア習慣はある程度復活すると思われる。


それでもウォーデルの場合、洗髪は毎晩ではなく週に1度のペースを維持するという。

月に1度しかシャワーを浴びないジャックは、ロックダウン解除後に会社勤務に戻れば「確実に」毎日体を洗うようになるだろうと話す。「ちょっと実験してみたかっただけ。ここまで洗わないでいるのは、今回が最初で最後だと思う」

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