テクノロジー企業グループ華為技術の次期後継者と目される孟晩舟は9月末に中国に帰国し、3年間近いカナダでの拘留中に学んだ教訓を会社のために活かすことを誓った。
アメリカは連邦政府によるファーウェイの機器の使用、アメリカ企業による輸出認可なしのファーウェイ製品の販売、およびアメリカの技術または設備を用いて設計・生産された半導体のファーウェイの機器への使用目的での供給を禁止した。これはファーウェイに対するチップの輸出停止措置にほぼ等しい。
これがファーウェイに与えた影響は甚大だった。主要なスマートフォン事業と電気通信インフラ事業の双方が甚大な影響を受け、今年上半期の収益は去年の同時期と比べて30%近く落ち込み、同社過去最大の下落となった。
「巨大なスタートアップ企業」のような研究開発
これまでの事業を頓挫させるような規制がとられていることから、ファーウェイは急いで事業の再構築を試みている。
また、制裁によるアメリカの束縛から逃れるべく、研究開発にも力を入れている。最新の6G技術の分野をリードするための多額の投資をしているが、それはアメリカからの輸入技術に頼るのではなく、他社がファーウェイの特許に依存するようにするためだ。
ここでの問題は、中国最大の企業の一つであるファーウェイの命運だけではなく、中国政府・米国政府間のより大きな技術競争である。
「ファーウェイは、中国が半導体と電気通信の分野でブレイクスルーを成し遂げる唯一の可能性であると多くの人に考えられてきました。だからこそ同社は生き残らなければならないのです。これは国家の使命です」と、中国南部のテクノロジー産業のハブでファーウェイの本社がある深圳の役人は言う。
半導体に依存しないソフトウェア事業の強化
これらの損失を受け、ファーウェイはチップを必要とするハードウェア事業に依存しないで済むよう、自社のソフトウェア事業を強化し始めた。
さらに、ファーウェイは企業や政府の諸部門に提供する新しいクラウドサービスを急速に開発している。同社はファーウェイ・クラウドのさらなる開発のため、今後3年間で1億ドルを投資する計画を9月末に発表した。
調査会社カナリスによれば、ファーウェイのクラウド事業は今年の第一四半期で116%成長し、60億ドルの中国市場の20%のシェアを占めるようになった。
他にも、情報技術の導入が遅れていた業界のデジタル化支援にも注力し、ファーウェイの企業向け事業の収益は昨年23%、今年前半に18%上昇した。炭鉱業や港湾操業の中国企業に電気通信、IT、そしてソフトウェアを提供し、コストの低下、安全性向上に貢献した。カウンターポイント社のアナリストである英楠は、同部門の収益が今後数年で最大年間15%増えると予測する。
しかし、これらの事業の成長も、スマートフォン事業への致命的な打撃を相殺するには充分でない。
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