我が子を失った数年後に2700万円の請求書…。米国の「サプライズ医療請求」に終止符は打たれるか【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.158】

ブリタニー・レインは、2018年の冬に娘のアレクサンドラを出産した。しかし、未熟児だったアレクサンドラは病院での治療中に感染症にかかり、生後25日で亡くなってしまう。

その後、レインのもとへは入院先の新生児科医や小児科医から少額の医療請求が届いた。しかし、これが終わりではなかったと、米紙「ニューヨーク・タイムズ」はレインと夫ブレイトンへの取材をもとに明らかにしている。

2020年になると、レインのもとに債権回収の通知が届き始めた。それはレインが当時契約をしていた保険会社「シグナ」からのものだった。同社は「アレクサンドラの治療費を誤って負担してしまった」ことを理由に、約2700万円もの請求を申し立てた。つまり、保険会社が病院に払いすぎたお金を取り戻すために、患者に請求していたのだ。 レインは記者に胸中を明かした。

「督促の手紙が来るたびに、我が子を失った日のことを思い出して、辛い気持ちになります」

シグナ社はレイン夫妻の訴えをうけ、「病院への過払いをチェックする第三者企業が誤って送付してしまった」と手紙にて謝罪。文面には「これまでの手紙は、シグナ社と病院との紛争が続いていることを知らせるためだけに書かれたもの」だと弁明が添えられた。

「サプライズ医療請求」が禁止される予定だが

アメリカではレイン夫妻のように、身に覚えがない医療請求を治療後に受け取る人たちが増えている。米オンライン・メディア「ヘルスライン」は、「自らの健康保険のネットワークに加入している病院に行っても、ネットワーク外の医師が治療することで予想外の医療費が発生する可能性がある」と書く。

前出のニューヨーク・タイムズは、首の手術を受けたある男性の事例を取りあげている──彼は手術前に病院、在籍外科医や待機中の麻酔科医が自分の医療保険のネットワークに入っていることを確認した。ところが、手術中にネットワーク外の外科医助手が呼ばれたため、1200万円もの医療費を背負うはめになったという。

患者のコントロール外の要素で発生するこのような「サプライズ医療請求」を禁止する法案は、2022年1月に施行される予定だ。しかし、実際にどのような仕組みで誤った請求を防ぐことができるのか、いまだ議論が続いている。 イベント参加はこちらから。

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