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執筆者の写真Shunta Takahashi

ユヴァル・ノア・ハラリ「世界を動かしている人は、世界を理解していない」【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.191】

ユヴァル・ノア・ハラリ(45):歴史学者。著書に『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』『21 Lessons:21世紀の人類のための21の思考』など、いずれもベストセラーとなった。オックスフォード大学卒(PhD)。


──今までで一番ハッピーだったのは何歳のときですか? 

それは「今」ですね。20歳、あるいは10歳のときと比べて、自分自身の期待の程度を現実とうまく合わせられるようになったからです。


──最も恐れていることは? 

気づいたときには、すでに私たちから人間性が破壊されていることです。


──現在、生きている人のなかで最も尊敬しているのは誰ですか? その理由は? 

個人レベルでは、新型コロナの時代に2人の子供を育てているシングルマザーの友人です。彼女は真の英雄です。歴史的な人物なら、ミハイル・ゴルバチョフを選びます。第三次世界大戦から世界を救ったのは、彼だと思っているからです。


──自分の一番嫌いなところは? 

どんな人にも、ポジティブな面とネガティブな面はあります。大切なのは、それをどう活かすかです。たとえば怒りと正義。両者は共に同じ側面の裏と表です。怒るか、それとも正義の裁きを求めるのか。


──あなたにしかない超能力があるとしたら、それは何でしょう?

物事をあるがままに観察できる能力でしょうか。

──自分の外見で一番嫌いなところは? 

笑顔を作るのが苦手なんです。とくに「笑って」と要求されるようなときとか。ほとんどの写真に写っている私の顔は、ちょっと仏頂面です。


──年齢を重ねていくなかで一番恐れていることは?  知的能力が衰えていくことです。


──生涯最愛の人は誰でしょう? 

夫のイツィク・ヤハフです。実は夫も私もイスラエルの同じ小さな町の生まれなんですが、デートアプリというものが出はじめたばかりの20年前にアプリ経由で知り合ったんです。結婚したのはトロントで、2010年でした。


──これまでに経験した最悪の仕事は? 

16歳の夏休みが始まる頃、工業用バルブを作る工場で働いたことがあります。私は工業用バルブの作り手として、歴史家として以上に使いものになりませんでした。


──最近、考えを改めた重要な事柄はありますか? 

今年、それがありました。新型コロナウイルス感染症です。大きな問題に対処するにはグローバルな協調体制が不可欠であると、信じて疑いません。けれど、この1年あまりの世界を見ているとそれは考えていた以上にはるかに困難で、不可能かもしれないと思ってしまいます。

──最も大切な人生の教えは何ですか? 

万物は流転すること。人は決して満足しないということ。すべてのアイデンティティは虚構だということです。


──人は、死ぬときどうなるのでしょう? 

これに関して、かなり多くのことを書いてきました。意識は永続的なものではないのに、そういうものだとみなす感覚が人間にはあると考えています。今、このときの意識は1分前、1日前、1年前と同じだ、というふうに結びつけているわけです。

しかし実のところ、ある瞬間の意識と次の瞬間の意識とを結びつけるものが何なのかは、まったくわかっていません。それが解明されれば、死ぬときにどうなるのかもわかるようになるのではないでしょうか。

私にはさっぱりです。だから、わかりません。


──秘密をこっそり教えてください。

世界を動かしている人は、世界を理解していない。

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