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執筆者の写真Shunta Takahashi

「リアルわらしべ長者」が、1本のヘアピンから“一軒家”を手に入れるまで【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.207】

血と汗と涙のにじむような1年半の努力の末、デミ・スキッパーはたった1本のヘアピンから物々交換を重ね、家を手に入れることに成功した。


彼女がこのプロジェクトを始めたのは、2006年に赤いクリップ1つから物々交換を重ね、最終的に一軒家を手に入れたカイル・マクドナルドに影響を受けてのことだった。

29歳のスキッパーは、テネシー州ナッシュビル近郊の小さな家の鍵を渡された。住宅ローンも手数料も発生しない。それどころか、これまでに1銭も費やしていない。


「朝起きたとき、『これって現実なの?』と思います。自分の家があるんです。しかもヘアピン1本から交換していってたどり着いたのですから!」


交換予定のものを明かしたら、批判殺到

終盤に差しかかった回の取り引きで、チポトレ(アメリカのメキシコ料理レストランチェーン)のセレブリティ・カードを相手にあげようとしていることを約500万のTikTokフォロワーに明かしたとき、スキッパーは予想に反して批判を受けることとなった。


そのカードは、1年間チポトレの料理を無料で食べることができ、それに加えて50人分のケータリングのサービスも受けられるというもので、約2万ドルの価値があるものだ。


その人たちが間違っていることを証明してやろうと決めたスキッパーは、次の交換に向けて作戦を練った。このファストフードチェーンが大好きな有名人を探し始めたのだ。


それから何ヵ月も探した末、彼女は「チポトレの最大のファン」だという、カナダで花屋を営むアリッサという女性からメールをもらった。アリッサは、テスラ・パワーウォール(家庭用蓄電池)とソーラーパネルが搭載された、電力を自給自足できる4万ドル相当のトレーラーハウスを、例のカードと交換することに合意してくれた。


意外なところから降りかかった「最大の試練」

ところがそのとき、このわらしべ長者の旅のなかでも、特に難しい戦いが始まろうとしていた。天にも昇る心地だったスキッパーは、急に落胆させられることになる。


新型コロナウイルスの影響で国境が閉鎖されているなか、トレーラーハウスをカナダからアメリカに運び込む方法を見つけ出したものの、トレーラーハウスの車輪の型がアメリカでは違法になり、交換もできないと告げられたのだ。


彼女は何週間もの間、運輸省に毎日電話をかけ、書類を自分で提出すると申し出た。その後、トレーラーハウスを自宅に持って帰れるようになるまでに3ヵ月を要した。


トレーラーハウスを引いて家に戻る帰り道、スキッパーはすぐに次の交換相手を探し始めた。そして興味を示したある女性にメッセージを送り、スキッパーの夫が運転している間、スキッパーとその女性は電話で話し始めた。


電話口の女性はスキッパーに「落ち着いて聞いてちょうだいね」と切り出した。実はその女性は古い家をリフォームして転売する業者で、常時15軒ほどの家を所有していたのだ。

彼女はスキッパーの物々交換を最初から見ており、交換したいと思う物が出てくるのを待っていた。


そして、このトレーラーハウスがそれだったのだ。彼女はスキッパーに、テネシー州にある家との交換はどうかと提案した。


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