喫煙文化が復活? アメリカで20年ぶりにタバコ販売数が増加した理由【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.211】

アメリカの成人の喫煙率は30年間着実に減少していた。特に2000年以降は着実に低下しており、50年前よりも約66%低くなっていた。しかし、2020年のタバコ販売数は、20年ぶりに増加となった。


米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、街角の若者たちに喫煙についてインタビューを行い、その関連性を探っている。というのも、過去20年以上にわたる喫煙率の減少に、最も大きく貢献していたのがその時代の若者たちだったからだ。

ニューヨーク在住のカーステン・クック(30)は、喫煙は10代の頃から始めたが2020年になるまでの3年間は禁煙していたと語っている。だが、彼女はパンデミックを機に、再び喫煙し始めた。理由は「ストレス」だと言う。


一般的に、「人はストレスや孤独、悲しみを感じると、ニコチンを欲する傾向がある」と、USC依存症科学研究所の所長は同紙に説明する。パンデミックが多くの人に孤独や不安をもたらしたのは言うまでもない。


外出制限が解除され、再び友人らとバーで集えるようになってからは、外に出てタバコを一緒に吸う人が増えた印象だと、彼女も語っている。大学の講義がオンラインになったり、仕事がリモートになったりした反動か、「仲間と一緒に行動すること」への欲求が高まっているのだそうだ。


「ウェルネス文化への拒絶」からの喫煙 

「タバコは常に何らかの形で『反逆の衝動』を象徴するもの」だと、同紙は書く。だとすれば、若者は何に反逆しようとしているのか。


これについて、ボストン在住の23歳の学生は、近年のメインストリーム、「ウェルネス文化への拒絶」だと語っている。ウェルネス業界が打ち出す、お金のかかるクリーンでヘルシーな生活は、彼女と同世代の若者の多くにとって、実はさほど身近なものではないと言う。オーガニックの食材を買いに行ったり、頻繁にヨガのクラスに通ったりする「時間の余裕もお金もない」。


かといって、クリーンでヘルシーな生活は、背伸びして真似したいものでもないようだ。最初こそ“新たなトレンド”だったウェルネスも、今の10代、20代にとってはもはや「クールなもの」ではなくなっている。

「タバコが体に悪いのはわかっている」


こと喘息持ちの彼女にとってはなおさらだ。けれど、喫煙して、あえて健康ブームに争うのが「気分が良い」と、アンビバレントな心情を明かしている。

マリファナも電子タバコも「もはやクールじゃない」

他にも、「マリファナの代わりに」という意味合いもあるようだ。

かつてカウンターカルチャーのシンボルだったマリファナは、今日のアメリカでは、ウェルネス業界のシンボルになっている。多くの州で合法化が進んだ結果、マリファナはカウンターカルチャー的なものではなく、単なる「薬のような位置づけ」になり、お洒落とは無縁の冴えないおじさんが、睡眠改善や慢性的な痛みを軽減するために服用するものになったと、同紙は述べる。


つまり、クールなものではなくなりつつある。そんななかで、タバコはかつてのマリファナの位置につこうとしているようだ。


ただし、電子タバコはこれに該当しない。未成年を含む若者の間で流行している電子タバコもまた、トレンドセッターや流行のアーリーアダプターたちの感覚によれば、「クールなものではない」と同紙は書く。


タバコを喫煙する動機には、「人からこう見られたい」という心情があると、前述のコピーライターの女性は語っている。


バーやクラブの外で「友達と喫煙している写真や動画をみんな投稿している」。つまり、喫煙は、「人から見られるための行為だと言える」。「今の私たちは、“見られたがり”だから」


しかし、今の「喫煙したいムード」が続くことを望んでいる若者は少ないと、同紙は述べている。


「タバコは本当に高いし、売っている会社は悪魔だし、それに、健康で居続けたい」、だから「タバコはそのうち辞めたい」と、24歳の写真家の女性は同紙に語っている。それでも今すぐ辞めないのは、禁煙が最優先事項ではないからだ。不安定な時代に突入したいま、それより「心配なことが他にもたくさんある」。

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