4月11日、イランの核兵器開発の象徴的な場所である同国中部のナタンズ核燃料施設で、ウラン濃縮作業が停止する事態が発生。イラン政府は、イスラエルの諜報機関モサドの仕掛けたテロであると主張していると報じている。
イラン政府はすぐにイラン人容議者の顔写真を公開し、国外に逃亡したとも述べている。
この件についてイスラエルは知らん顔だが、イランとの核合意をバイデン政権が復活させるべく行っている交渉の裏で、関係国の思惑が渦巻いていると思われている。
すると、この事件に合わせるかのように、米拠点のユダヤ系新聞では、「イスラエルが、イラン人がSNSで偽の人物を作り上げて、イスラエル人を誘拐しようと計画していることを把握した」と報じている。
さらに「イラン人は仕事の約束をしたり、恋仲になるなど『ハニートラップ』と言われる手口を使ったりして、ターゲットを惹きつけて取り込もうとしている。」と書いた。
SNSとスパイ工作について
今回のケースでは、イランの工作員がインスタグラムでビジネスパーソンを装い、イスラエル人に接触を試みていた。そのプロフィール写真は綺麗な女性で、華々しい経歴だったりする。
ウォール・ストリート・ジャーナルは2020年の記事で、多くのイスラエル軍の兵士たちが何ヵ月にもおよぶSNSを使ったハニートラップに引っ掛かっており、問題になっていると報じていた。
パレスチナのイスラム原理主義組織「ハマス」の工作員が、イスラエル人の若い女性を装って兵士に接触し、親しくなる。
そのうちセクシーな写真などを送ったりするようになり、写真をクリックすると、スパイウェアをダウンロード/インストールしてしまい、パソコンやスマホなどを乗っ取って監視できるようになる。
そこから、軍のシステム内の軍事作戦に関する情報などが狙われるのだ。
規模が段違い…中国スパイ工作の実態
中国はこの手の工作を頻繁に行っており、インテリジェンス関係のみならず、欧米の民間企業も同じ手口で標的にし、企業の知的財産などを奪っていた。
この作戦は大規模だったため、欧米の当局からは「ナイト・ドラゴン」というコードネームで知られていたくらいだ。
イギリスの防諜機関であるMI5がリンクトインを使った工作が行われていると警告を発しているし、フランス当局も2018年に同様の警告を出している。
またドイツの防諜機関である連邦憲法擁護庁(BfV)も、中国のスパイたちが偽の人物になりすましてアカウントを作り、SNSを使って1万人にのぼるドイツの政府職員や政治家たちから情報を得ようとしたり、協力者を作ろうとしていたと警告している。
こうした工作を防ぐことはなかなか容易ではないけど、見知らぬ人からの「友達申請」などはすぐには信じないこと。そして送られてくる写真や文書などのファイルは極力クリックしないこと。こうした対策を意識するだけで、被害はぐっと減るだろう。
ぜひ気をつけたいことだ!
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