電気自動車参入でフォックスコンが“自動車業界の覇者”になる日【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.92】

2021年3月、世界最大の電子機器受託生産企業であるフォックスコンは、台北にある歴史的な工場の建物を利用したシックなイベントスペースで、500人の経営者を招いて本格的なショーを開催した。

壇上の目玉は、スマートフォンの最新モデルではなく、光り輝く鉄とゴムでできた車体シャーシの試作品だった。


それこそ、フォックスコンが電気自動車(EV)の製造用のソフトウェアとハードウェアの完全なプラットフォームを供給するために設立した業界アライアンス、「MIH」の最初の会合の主役だった。そしてそれは、10年以上にわたってiPhoneを作り続けてきた企業が、これで自動車を作る準備も整ったという意思表明でもあった。


フォックスコンの会長であるヤング・リウは、このような業界の動きは、製品サイクルの短縮化と全体的なスピード化において実績のある同社にとって、明らかに有利だと言う。


アップル最大のサプライヤーであるフォックスコンが電気自動車の製造に進出すれば、最大の顧客であるアップルも自動車市場への参入が容易になるかもしれない。


これまでフォックスコンは、生産工場の予定地について、ほとんど言及してこなかった。そんななか、フォックスコンとフィスカーは米国内で共同製造を開始すると発表し、工場地としてウィスコンシン州に所在するフォックスコンの広大な工場を含む数ヵ所を検討している

ことを明らかにした。


さらにフォックスコンは、今なお100万人近い従業員を擁する中国の生産拠点のいくつかを再編成する可能性も匂わせている。

従来の自動車メーカーに迫られた厳しい選択


フォックスコンは、自動車産業への参入を目指してしのぎを削る、あらゆる規模のエレクトロニクス企業の先頭を走っている。


こうしたエレクトロニクス企業が自動車のサプライチェーンに参入している状況は、産業史における転換点の到来を告げている。


それは、世界の2大産業である自動車産業とエレクトロニクス産業の融合であり、どちらの産業も激変することが予想される。


電気自動車は、消費者にとっては従来の自動車と見た目が変わらず、同様の機能を発揮するにもかかわらず、中身はまったく異なっている。そのため自動車メーカーは、電気工学やソフトウェアの新技術を早急に獲得するか、自動車製造から撤退するかという厳しい選択を迫られているのだ。


従来の自動車製造では、開発の初期段階からサプライヤー同士が協力して自動車部品を統合していく必要があった。これは、自動車の大部分がハードウェアの塊で、エンジンが最も重要な部品である場合には有効な方法である。


しかし、東京に拠点を置くデロイト トーマツ コンサルティングのパートナー、周磊は、「産業が電気自動車に舵を切る場合、そうしたプロセスはコストと時間がかかりすぎて効果的ではない」と指摘する。


現在の自動車の内燃機関がほぼハードウェアで出来上がっているとすれば、電気自動車では大部分が車内エンターテインメントやコネクテッド・サービスなどの、ソフトウェアやコンテンツで構成されることになるからだ。


「従来の自動車メーカーにとって新たな課題は、全く異なる分野のサプライヤーをいかに活用していくかということです」と、周は言う。


さらに、テスラのサプライチェーンがすでにさまざまな業界の台湾グループに大きく依存していることを指摘したうえで、こう付け加える。「コスト競争力のあるサプライヤーだけが生き残れるでしょう」。

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