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執筆者の写真Shunta Takahashi

「檻の時代」の終焉──EUが家畜動物のケージ使用を全面禁止へ【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.94】

EUが「家畜動物のケージ飼育禁止」に向け、動きはじめた。欧州委員会は、家畜を飼育するためのすべての檻や子牛用ペン(牛房)の使用を2027年までに禁止する計画を発表した。


これにより、動物福祉向上を訴える活動家たちの長年の主張が聞き入れられ、ヨーロッパの3億羽を超える雌鶏、母豚、子牛、ウサギ、カモ、ガチョウやその他の家畜動物が恩恵を受けることになる。


仏放送局「ユーロニュース」によると、この動きは2018年、市民団体の呼びかけから始まった。「エンド・ザ・ケージ・エイジ」(檻の時代を終わらせよう)と名付けられたこのキャンペーンに、140万人以上のEU市民が賛同し、動物たちが自由に動いたり外に出たりすることを妨げるケージの使用禁止に向けた嘆願書に署名した。

キャンペーンを立ち上げた市民団体「コンパッション・イン・ワールド・ファーミング(CiWF)」のEU責任者オルガ・キクーは今回の発表を受け、「歴史的な決断」と称えた。

英紙「インディペンデント」によると、欧州委員会は2023年末までに「ケージの使用を段階的に廃止、最終的に禁止する」ための法案を提出する予定だという。それには、欧州議会と欧州連合理事会の承認が必要になる。


さらに委員らは、輸入製品に対してもEU内のルールと同等の基準を導入すべきか検討することも約束している。


欧州委員会の保健衛生担当、ステラ・キリヤキデスは声明のなかでこう語った。「動物たちは感覚を持った生き物です。私たちには、動物の農場での環境がそれを反映したものであると保証する、道徳的・社会的責任があります」


一方、業界団体は、この政策の実現には巨額のコストがかかる可能性があるとし、加えて、ヨーロッパの各地域で農業の習慣が異なるという事実を考慮していないと指摘する。


「南ヨーロッパで行われていることと、北ヨーロッパで行われていることは同じではありません。私の母国フィンランドでは、気温がマイナス30度になることもあります。動物たちを囲いの中に入れる必要があることは明らかです」。欧州農民組合「コパ・コゲカ」の事務局長ペッカ・ペソネンはユーロニュースの取材に対しそう主張する。


さらに、ヨーロッパの小売業界でも、動物福祉向上に向けた動きが見られはじめた。

仏誌「ロプス」によると、ドイツの小売大手「アルディ」グループは、屋内で飼育された家畜の肉の販売を2030年までに中止すると発表した。


太陽の光も浴びず、屋外の空気にも触れることなく育てられた動物の肉は、「動物福祉が保証されていない環境で飼育された」と見なし、販売しないという。


国際環境団体「グリーンピース」は、この発表を「動物福祉の向上に向けた重要な一歩」として歓迎している。

イベント参加はこちらから。 https://peatix.com/group/7228383


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