【アップルvsフェイスブック】両CEOが仲違いをした決定的な瞬間【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.90】

2019年7月、ハイテク・メディア業界の大物が集う会合で、アップルのティム・クックCEOとフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは、以前からこじれていた関係を修復しようと参加した。


しかしこの当時、5000万人超のフェイスブックユーザーの個人情報を本人に無断でイギリスの政治コンサルティング会社に収集させたとして、ザッカーバーグは議会に厳しく非難されていたのだ。


ザッカーバーグは、クックならそうした問題響にどう対処するかと本人に尋ねた。クックは辛辣にも、フェイスブックは自社の主力アプリ以外で収集した個人情報をすべて削除すべきだと切り捨てた。


ザッカーバーグはこれを聞いてあぜんとした。オンラインのターゲティング広告で収益を稼ぐフェイスブックには、ユーザーの個人情報が頼みの綱だ。

クックはその情報収集をやめるよう促すことで、ザッカーバーグのビジネスは受け入れられないと伝えたも同然だった。ザッカーバーグは、クックのこの忠告を無視することにした。


対称的な2人

両者の違いは昔から歴然だった。60歳のクックは、効率的なサプライチェーンの構築によってアップルで出世街道を歩んできた優れた経営者だ。一方、36歳のザッカーバーグは米ハーバード大学を中退し、言論の自由のためなら何でもありの精神でソーシャルメディア帝国を築いた人物だ。


こうした相違は、デジタルの未来に対するビジョンがまったく異なることでさらに広がった。


クックは安全性や秘匿性の高いインターネットを提供し、対価としてプレミアムの支払いを求めたい考えで、これはアップルに脈々と息づく戦略だ。だがザッカーバーグは、フェイスブックのようなサービスが実質無料で提供される「オープンな」インターネットを提唱している。このシナリオでは広告主が費用を負担する。


決裂の始まり


2014年2月、フェイスブックの取締役会がとあるSNSアプリ大手を買収する「プロジェクト・コバルト」について議論した際、一番に念頭に置いていたのは、アップルの影響力だった。


シェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)は、モバイル用OS市場におけるアップルとグーグルの支配力から自社を守るためにも買収に踏み切るべきだと主張した。


クックもフェイスブックに否定的な考えを抱き始めていた。米連邦当局は2016年の大統領選後、ロシアがフェイスブックを悪用し、米有権者に影響を及ぼしていたと公表した。


クックはフェイスブックと距離を置くことにしたと元幹部は言う。2015年の段階でプライバシー管理を課題と認識していたクックは、2018年には対策の強化に動いた。「プライバシーは基本的人権です」。アップルはこんな社是も新たに掲げた。


同じ年、クックはMSNBCのインタビューでケンブリッジ・アナリティカについて質問されると、状況は「切迫している」とし、フェイスブックには「適切に策定された規制が必要」だと提言した。


アップルはプライバシー保護を目的に、自社のインターネットブラウザ「サファリ」でユーザーの閲覧履歴を追跡する場合は本人の許可を得るよう各社に義務付ける方針も明らかにした。


フェイスブック側はアップルのプライバシー対策を偽善と受け止めていたと、同社の現旧従業員3人が明かした。たとえば、アップルはデータを大量に吸い上げるグーグルの検索エンジンを自社製品に搭載する取り決めで長らく潤ってきた。そのうえ、アップルが進出した中国は、政府が国民を監視下に置く国だとフェイスブック幹部は強調している。


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