アマゾンは四半世紀にわたり、どんな企業も直面したことのない野心的な質問と格闘してきた。あらゆるものを売るストアをどう作るか。どうすれば誰もが共有できるスーパーコンピュータを構築できるか。どうすれば1年以内に50万人を採用できるか。
こうした問いのすべてに答え、時価総額1兆7000億ドルの企業と資産総額2000億ドルのCEOが生まれた。
今、ベゾスはCEOの座を退き、執行会長という名誉職に就こうとしている。自分が情熱を傾けているプロジェクト、つまり気候変動と闘い、宇宙へ行くという目的に集中するために。
その一方で、この成功がもたらした影響、アマゾンの副産物もまた表面化しつつある。アマゾンを批判する人々は、ベゾスのイノベーションを独占行為、労働者の搾取、プライバシーの侵害と見なし、新しいテクノロジーが倫理的に疑わしい行為に用いられていると主張する。
利益より成長を
アマゾンの急速な成長と壮大な野心は、常に周囲を困惑させてきた。1999年の「ニューズウィーク」誌は、ある経営コンサルタントの言葉をこう伝えている。
「世界最強のブランドはみなシンプルな言葉で表現できる。(中略)しかしアマゾンは本も炭火焼きグリルも売るという。私にはまったく理解できない」
ベゾスは1997年に株主に送った最初の手紙を皮切りに、アマゾンは利益よりも成長を常に優先するというメッセージを繰り返し投資家に伝えてきた。実際、これはアマゾンの物流網が1999年のわずか7施設から1500を超えるまでに拡大した現在に至るまで、同社のビジネスを貫くテーマとなっている。
最大の差別化は「配送時間」だ
アマゾンの資金はもっぱら配送日数の短縮に投じられた。配送の早さこそ、最も重要な差別化要因になるとベゾスはすばやく見抜いていたからだ。彼はこの戦略を使って顧客を囲い込み、2005年には年79ドルを払えば、あらゆる商品のスピード配送を「無料で」受けられる有料会員制度「プライム」を開始した。
現在の年会費は119ドルだが、プライム会員の数は米国だけで推定1億5000万人を超える。これは米国の成人人口の半数以上に相当する。
プライムの華々しい成功は、ベゾス自身が自分の重要な実績として挙げているものだ。
プライム会員はすでに会費を前払いしているため、他のショッピングサイトに浮気することはめったにない。平均すると、プライム会員の購入額は非会員の2~3倍に達する。
「ベゾスは長期的に考えろ、続けろ、積み上げろと、口癖のように言っていました」と、アマゾンの元管理職で、現在はアマゾンに出品する外部業者に助言を提供しているジェームス・トムソンは言う。
その結果、今のアマゾンが出来上がったというわけだ。
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