採用時に年齢を見てはいけない本当の理由──“本人の感じる年齢”の方が実年齢より仕事上は大事【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.125】

不確実な経済状況におかれる現代のビジネスは、激しい変動にさらされており、さらに、組織内では、かつてないほど広い世代が一緒に働いている。


世代間摩擦というのは今に始まったことではない。アリストテレスも紀元前4世紀に、若い世代に対する不満を書き残している。このような複雑な問題を乗り越え、すべての従業員が現代の職場で活躍できるようにするには、企業はどうすればよいのだろうか。


一方、年齢による一般化も不適切だ。かつてないほど多様な年齢の人が働く状況を過度に単純化し、不正確に取り扱うことになる。さらに、年齢による差異を、実際の傾向以上に重視している。


高齢者は、もっとも成長している労働者のセグメントだ。アメリカでは、2016年の890万人に対し、2024年には1300万人の65歳以上の人々が雇用されると予測されている。しかし、高齢の労働者に関する学術研究はまだ少なく、存在していても、すべての高齢者を同じレンズを通して見る傾向がある。


高齢者内の「主観年齢」による差と、それが仕事に与える影響

そこで、この見過ごされてきた高齢者内の異質性に焦点を当てた研究を行った。その結果、キャリア後期にいる50歳以上の従業員を、年齢ではなく行動や実績に基づいて、3つの類型に分けることができた。


それは「若年層」、「熟年層」、「老練層」という分類で、数字上は同じ年齢(平均55歳)だが、健康、仕事の能力、仕事の成果など、調査したすべての項目でスコアが大きく異なっていた。


これらの違いは、当人が自分は何歳だと感じるという「主観年齢」によってのみ説明できる。「主観年齢」は、人生におけるさまざまな成果の得やすさを考えるために実年齢よりも重要であると考えられており、脳の老化や手術後の生存率との関連性が示されている。

この3つのグループには、仕事の成果に大きな差が見られる。


たとえば、実年齢よりも10歳以上若く感じる主観的に若い「若年層」は、仕事に対する意欲やエンゲージメント、生産性が高い。


一方、「老練層」は、仕事への意欲やエンゲージメントが最も低く、支援や介入の必要性が最も高いとされた。


「熟年層」は両者の間に位置する。この層の労働者はうまくやっているし、やる気もあるが、そのエンゲージメントは若年層に比べて低い。

高年齢の従業員に対して企業が取るべき行動

今回の調査では、「主観年齢」の違いを認識し、その差が仕事への意欲に与える影響を明らかにした。人事部門は、この分析を参考に、高齢化する労働者に対して、より個々に合った支援を行えるようになるだろう。


主観年齢は、サクセスフルエイジング(理想的な老い方)ができているか、平均以上の対処能力を持っているかどうかの指標となりうる。主観年齢の差によって、特別な支援を必要とするのか、支援なしにもうまくやれるのか、あるいは自ら仕事を充実させられるのか、変わってくる。


組織は、主観年齢や実年齢に基づいて従業員を差別してはならないが、あらゆる年齢の従業員における健康や事故のリスクのレベルの違いを理解することには意義がある。管理職は、従業員がより生産的により幸せに働けるよう、必要な層の従業員には産業保健プログラムの導入などを検討してもよいだろう。


サクセスフルエイジングの促進は、公衆衛生上の優先事項となりつつあるが、私たちの研究によると、それが経営上の問題でもあるということになる。


企業が理解すべきは、従業員の急速な高齢化だけでなく、実年齢が仕事に対する意欲や成果に関する指標とはならないと言うことだ。高齢の労働者のなかの異質性を認識し、それを適切に管理することで、企業は利益を得られるだろう。

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