最近少しでもソーシャルメディアを見たり、運動イベントに参加したりした人は、もっと水を飲むよう、これでもかと勧められたことだろう。
水を余分に消費することには、記憶力の向上からメンタルヘルス、エネルギーの増加、血色の改善まで多くのメリットがあるとされ、その数は限りない。
ハインドマンいわく、水分補給を続けることは間違いなく重要であるが、「より多くの水を飲むという行為だけで人がもっと健康になれる」と考えるのは誤りである。
医学的見地からみると、水分補給の最も重要な目安は「体内における電解質(ナトリウムなど)と水のバランスにある」と、トプフ医師は付け加える。そのバランスを保つために、1日中何杯も水を飲み続ける必要はないのだ。
実際、どれくらい水を飲まないといけないの?
水の必要量は、体格、外気の温度、呼吸や発汗の激しさといった固有の要因に応じて決まる。暑いなか、16キロの距離をハイキングしたばかりの体重90キロほどの人は、温度が調節された建物のなかで1日を過ごした体重50キロ台のオフィス・マネジャーよりも、明らかに多くの水を飲む必要がある。
1日に必要な水の量は、健康状態によっても左右される。たとえば心不全や腎臓結石といった病気を抱えている人には、利尿剤を服用している人とは異なる量が必要かもしれない。
ほとんどの若くて健康な人たちにとって、水分補給の最良の方法は「喉が渇いたときに飲む」ことであると、トプフ医師は言う。
それに「尿の色が水分補給の状態を正確に表している」という俗説も、当てにしてはならないとヒュー=バトラー博士は警告する。たしかに濃い黄色や琥珀色の尿が脱水症状を暗示している可能性はある。だが、「色だけで水を飲む必要性がわかる」という確たる科学的根拠は存在しない。
喉が渇いてなくても水をたくさん飲めば、健康になる?
いいえ。もちろん腎臓結石や、もっと稀な多発性嚢胞腎などの特定の症状を抱える人たちは、「渇き」が伝える分量よりも少し多めに水を飲む努力をすることで恩恵を得られるかもしれないと、トプフ医師は言う。
ところが、ハインドマン博士の推測によれば「脱水症状のせいで気分が悪い」と主張する健康な人の大半は、実は水を飲み過ぎているからこそ気分が優れないのだという。
腎臓が排出できる以上の分量の水を飲むと、血中の電解質が希薄になりすぎ、非常に軽度な場合でも気分が優れない状態になる。最も極端なケースでは、短時間に過剰な量の水を飲むと、「低ナトリウム血症」または「水中毒」と呼ばれる状態を引き起こすかもしれない。
ハインドマン博士いわく「これは非常に恐ろしく、良くない症状」である。血中のナトリウムレベルが低くなりすぎると、脳浮腫や、てんかん等神経系の問題が起こり、昏睡状態や死すら引き起こす可能性があるからだ。
充分な水分補給ができているか、どうすればわかるの?
それは、あなたの身体が教えてくれる。「水分を保つには、悲惨な健康被害を避けるための複雑な計算と瞬時の調整が必要である」という見方はでたらめに過ぎないと、専門家たちは主張している。あなたにできる最善のことの一つは、それについて考えすぎるのをやめることだ。
一方で、水分補給を保つための最良のアドバイスは、最もシンプルであると、トプフ医師は言う。
喉が渇いたときに飲めばいい。そう、実に簡単なことなのだ。
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