熱湯でゆでた卵が再び生卵になり、さらにその生卵からヒヨコが生まれたと主張する、小学生でさえ容易に信じるわけもない荒唐無稽な論文が、中国の政府系学術雑誌に掲載された。
論文は、河南省鄭州市の専門学校・鄭州市春霖職業培訓学校の郭花平校長が2020年6月、自然科学・人文科学の政府系総合雑誌「写真地理」に発表したものだった。
論文には、「ゆで卵を生卵に変えるなど、古来、想像もできない、不可能なことと思われてきた。けれども郭花平校長指導のもと、特別な訓練を受けた生徒たちは、超心理意識エネルギー伝達法を用いて実際に、ゆでたまごを再び生卵に変え、 “一度、ボイルされた生卵”からヒヨコを孵化させるという独特の実験を40回以上、成功させている」と記されていた。
総合ニュースメディア「澎湃新聞(ザ・ペーパー)」が、郭花平に確認したところ、「超心理意識能量伝播法」によって生卵が再生され、ヒヨコが生まれるという核心部分の具体的なプロセスについては「コアシークレット」ゆえに言及を避けた。
学術論文には科学的な厳密さが必須だが、郭花平の実験と説明は、科学や基本的な常識からかけ離れたものだった。
高額授業料に怪しいカリキュラム
2009年に小さな学習塾として開校した同校は郭花平校長の肝煎りで、2016年5月から、子供の脳機能を高め、訓練する独自教育に注力。まず「右脳潜在能力発達訓練」クラスを開講し、続けて「超感知万能全脳」クラス、「原子エネルギー波動速読」クラス、「大脳機能画像化訓練」クラスを開いた。
「子供の脳の無限の可能性、子供の創造性を育成します!」と謳い、受付の事務員も問い合わせた客に対し、「これらのカリキュラムはほどなく中国科学院から認定され、鄭州大学にも導入される予定」と語っていた。
ちなみに「右脳潜在能力発達訓練」クラスの受講生は3泊4日合宿特訓コース1人1万2800元(約21万5500円)。180日通学コース6万元(約110万円)、別途入学金1万4000元(約23万6000円)を徴収されていた。
虚偽内容の教育で学校は営業停止に
学校のHPには「郭校長は国立鄭州大学で20年以上の教育管理の経験があり、脳画像開発プロジェクトを中国で最初に教え、若者の潜在的な知性の開発に取り組んでいる」とのプロフィールが記されている。
郭花平は校長職のほかにさまざまな肩書を有していた。中華人民共和国国家2級心理カウンセラー、国家2級産業コミュニケーション・トレーナー、河南省科学技術コンサルタントなど、その数20以上!
ただ、これらの大半は完全な「自称」「詐称」であることがメディアによって暴かれている。
4月27日、騒動が拡大していることから郭花平は涙を交え、まったく謝罪になっていない謝罪会見をおこなった。
4月28日、鄭州市政府当局は、虚偽広告や虚偽内容を教育したことを問題視し、鄭州市春霖職業培訓学校を「中華人民共和国民弁教育促進法」違反容疑で営業停止処分にした。同時にカリキュラムの全面改訂と同日付で郭花平の校長職解任を命じた。
っていうヤバイ事件というかニュースでした!笑
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